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2009年1月16日 (金)

大学生の就職先人気企業ランキングから産業別の景気を考える

本題に入る前に、欧州中央銀行 (ECB) が政策金利であるレポレートを50ベーシス引き下げて2.0%にしました。いずこも同じ金融緩和です。下のグラフは "Financial Times" のサイトから引用しています。

Eurozone interest rates

さて、本題に入って、今週1月13日にダイヤモンド・ビッグ&リード社から「大学生が選んだ人気企業ランキング2009!」が発表されました。大学生に日本経済論を教える身としては、いろんな意味で気にかかるところです。まずは、男女別かつ文系理系別の人気企業ランキングのトップテンは以下の通りです。

文系・男子
順位企業名
200920082007
111三菱商事
234三井物産
323三菱東京UFJ銀行
444住友商事
5710三井住友銀行
6109パナソニック
757東京海上日動火災保険
866丸紅
985伊藤忠商事
101414野村證券
理系・男子
順位企業名
200920082007
122パナソニック
239ソニー
3410シャープ
4107住友商事
555三菱商事
593三井物産
776野村総合研究所
811日立製作所
988キヤノン
10114東芝
文系・女子
順位企業名
200920082007
157ベネッセコーポレーション
213東京海上日動火災保険
3611ジェイティービー (JTB)
421三菱東京UFJ銀行
5813三井住友銀行
6923資生堂
71527オリエンタルランド
81615丸紅
932全日本空輸 (ANA)
1045三菱商事
理系・女子
順位企業名
200920082007
1117資生堂
21923明治製菓
321パナソニック
474サントリー
51919森永製菓
667ロッテ
7-27住友商事
8--旭化成グループ
91514武田薬品工業
1022-富士フイルム
101212コーセー

引用元のダイヤモンド・ビッグ&リード社のサイトにもあるんですが、大手企業・安定企業志向がより鮮明になっているようです。言うまでもなく、30年前は私も文系の男子の大学生でしたから、女子学生、特に、理系の女子学生についてはよく分からないんですが、食品会社が見受けられるのは、男子の理学部や工学部と違って、女子の理系は食物科なんかが多いんだろうと想像しています。男子学生の場合、文系・理系ともに総合商社の人気が高くなっていて、これに加えて、文系では大手金融機関、理系では大手電機メーカーに人気が集まっているような気がします。
なお、サイトでは文系・男子は150位まで、理系・男子と文系・女子は100位まで、理系・女子は30位までのランキングが pdf ファイルでダウンロード出来るようになっています。10位までのランキングでも明らかなんですが、もっと長いランキングを見ても、トヨタやホンダといった自動車会社の凋落振りが激しいことが分かります。昨年のランキングではトヨタは文系・男子で20位、理系・男子では6位だったんですが、今年は53位と23位に大きくランキングを落としていたりします。現在の経済環境下では、もうすぐ、電機会社の人気も落ちそうな報道も見かけたりします。言うまでもありませんが、各産業界の景気を如実に反映しているような気がします。ただし、人気企業ランキングですから明示的には入りようがないんでしょうが、就職先として考えた場合、公務員の人気が上昇しているような気もしないでもありません。それにしては、公務員試験委員も経験した私のゼミに学生の集まりが悪いので、力不足を感じてしまいます。また、昨年9月半ばのリーマン・ショック以降、ここ2-3か月で世界経済は大きく様変わりしましたが、日本については金融会社が人気を保っているのは理由のあることかもしれません。でも、やっぱり、外資系金融機関の人気は落ちているような気もします。

最後に、これまた本題とは関係ない話題で、米国のメディアは NY のラガーディア空港を飛び立った US エアウェイズの飛行機がハドソン川に不時着したニュースで持切りです。155人の命を救った機長が顔写真入りで紹介されていて、ほとんど英雄になっていたりします。このような事故の際に、寒い中を我が身を省みずに救助に駆けつける米国人のスピリットは敬服すべきものがあるように感じます。もちろん、全部見たわけではありませんが、以下の NBC ニュースのビデオが私の見た中では一番興味深かったです。私も東京と長崎を飛行機で行ったり来たりする身ですので、こういった事故は他人ごとではあり得ません。

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