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2009年1月19日 (月)

米国の景気回復と日本の基礎的財政収支

週末に大学入試センター試験があったりして、少し遅れましたが、今夜は先週金曜日1月16日に発表された日米の資料を取り上げたいと思います。まず、米国の大統領経済報告が米国議会に提出されました。もちろん英文で400ページを超える膨大なリポートですから、全部を読んだわけではないんですが、先行き見通しはかなり楽観的といえます。ブッシュ政権最後の経済見通しは以下の通りです。リポートの pp.54 から引用しています。

Administration Economic Forecast

第4四半期対比で、経済成長率は2008年の▲0.2%のマイナス成長から2009年には+0.6%、2010-11年には+5.0%に急回復する一方で、雇用は2009年平均で毎月▲23.5万人の非農業部門雇用者が減少し、失業率は7.7%に達すると見込んでいます。消費者物価は2%前後の安定と呼べる範囲で推移するのは大雑把にコンセンサスがあるような気もします。なお、2008年夏以降の金融危機については、そのルーツは1990年代末にあると、クリントン大統領時代に責任転嫁しているとも読める姿勢を示し、アジアや中東など海外の経常収支黒字国から安価な資金の大量流入が住宅ブームを招いたのが根本原因であるとして、これまた、責任転嫁の姿勢が垣間見えたりします。いずれにせよ、明日には新しい大統領が就任式を迎えるわけですから、注目度が低いのはいうまでもありません。

国・地方の基礎的財政収支 (対名目GDP比)

これに対して、日本の財政収支はかなりの程度に世界景気の回復に依存しているようです。これも16日の金曜日に開催された経済財政諮問会議の資料から、上のグラフは国・地方の基礎的財政収支 (対名目GDP比) です。水色が世界経済が急回復するケースで、上の方の折れ線グラフは歳出削減幅が14.3兆円と大きかったり、社会保障を名目で横ばいに据え置いたりしたケースで、下の折れ線は歳出削減幅が11.4兆円で社会保障を物価上昇に合わせて引き上げるケースです。上下のレンジは同じで、黄色が世界経済の回復がそれなりに順調なケース、ピンクは世界経済が底ばいするケースです。上にリンクを張ったリポートに詳しい前提があります。いずれにせよ、世界経済が急回復するとしても、2010年代半ばまでは基礎的財政収支がバランスしないとの試算結果になっています。底ばいケースでは一向に好転しなさそうに見えます。

"The Sustainability of Fiscal Policy in the United States" と題するカリフォルニア大学サンタ・バーバラ校のボーン教授のペーパーで示された財政のサステイナビリティに関する検定に従えば、直感的に言って、基礎的財政収支がマイナスの赤字であっても、その赤字幅が減少しているのであれば、財政はサステイナブルであるとしています。私は慶應義塾大学経済学部の土居准教授がボーン教授の検定に従った推計をしているペーパーも読んだことがあります。それは別にして、極めて大雑把に言って、上のグラフが右上がりになっていないと、ボーン教授の定義による財政のサステイナビリティは満たさないわけで、かなりの程度、日本財政のサステイナビリティは世界経済の動向に依存しているようです。

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