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2009年2月12日 (木)

米国の金融安定化策の評価

一昨日、2月10日にガイトナー米国財務長官から金融安定化策 (Financial Stability Plan) が発表されましたが、マーケットは評価せず株価は下落しました。米国経済に関しては議会で調整の続いている財政支出策の方も興味あるんですが、ブッシュ政権下で実現した不良資産救済プログラム (TARP) の残りの部分ですから、本来の金融安定化についてはコチラも重要です。ホントは昨日のうちに取り上げるべきトピックだったんですが、休日出勤で期末試験の採点をしていたりして、今夜のエントリーにズレ込んでしまいました。悪しからず。

米国の金融安定化策のイメージ

まず、上の画像は読売新聞のサイトから引用しているんですが、これに即して米国の金融安定化策のいくつかのポイントをごく簡単に取りまとめると、以下の通りです。上の画像の右から順に、第1に、いわゆるバッドバンクを官民で設立し、不良債権を買い取ります。第2に、TARP の残りの3500億ドルの資金による半ば強制的な予備的資本注入です。第3に、ターム物を担保にした連邦準備制度 (FED) からの貸出しを5倍の1兆ドルに拡充し、適格担保証券も拡大するものです。第4に、住宅価格の低下でネットの債務超過に陥っている住宅ローンの借り手救済ですが、かけ声だけで詳細発表は後日に引き延ばされました。
私の評価について、やや順序が入違いになりますが、いくつかの上のポイントと関係させて述べると以下の通りです。まず、従来から私は予備的な資本注入の必要性を取り上げていましたが、今回は最悪のタイミングで、すなわち、銀行幹部の高額給与を米国政府がバッシングする中で資本注入の策が決まったものですから、当然に政府からの締付けや管理が強化されることが大いに予想される公的資本注入を忌避する結果にならないかと危惧しています。まあ、銀行経営陣からすれば、責任を問われずに資本注入してもらうという安易な救済はないことになります。オバマ政権でも銀行救済には慎重な姿勢がうかがえます。ですから、もしも、公的資本注入を回避するために、大規模なリストラを行ったり市場における資本調達を強引に進めたりすると、逆に、銀行のバランスシートの急激な縮小や金融市場の資金不足を助長する結果にもなりかねません。また、現在の米国議会における財政刺激策とも大いに関係しているんですが、TARP を超える資金手当が示されませんでしたから、金融安定化に回せる財政資金の限界がマーケットから見透かされているような気がします。特に、本格的にバッドバンクに取り組むにはかなりの財政資金を投入する必要がありますから、どこまで本腰を入れたバッドバンクが出来上がるのか少し疑問です。場合によっては、政府の締め付けを回避するという民間銀行側の利害と財政資金が不足するという政府側の利害が一致して、民間資金だけでバッドバンクを立ち上げることになる可能性も否定できないと私は考えています。いずれにせよ、財政資金が不足するのであれば、FED の流動性供給に依存する部分が高くならざるを得ないと私は見ています。最後に、オバマ大統領はサブプライム・ローン問題の借り手救済に関して、差押え防止基金のようなものを設立して、借り手の救済を実施すると公約して来たんですが、これが進みません。あるいは、住宅価格の上昇を待っているフシがないでもないんですが、すでに、ネットで債務超過に陥っている借り手も少なくありませんから、そんなに悠長に待っていられるものでもありません。今月中くらいに詳細が公表されると聞き及んでいますが、財政資金の不足やバッドバンクとも大いに関係しますので、オバマ政権の支持基盤の有力な一部を成している借り手救済がどのように進められるのか、大いに興味があります。米国の新しい大統領は就任から100日が重要だと言われていますが、どこやらの国の総理大臣が100日ほどで内閣支持率を大幅にダウンさせた例もありますし、オバマ大統領の支持率にも影響を及ぼしかねません。

ガイトナー財務長官もオバマ大統領も日本のバブル崩壊後の経験を踏まえて、スピード感を重視しているように見受けられます。例えば、少し前の Wall Street Journal の記事で、"Geithner: Speed Is Key to Recovery" とか、"Obama Warns of 'Lost Decade'" といったスタンスをよく見かけます。まあ、日本のバブル後の大きな景気後退や今世紀に入ってからのデフレなどの10年不況も世界的には反面教師として役立っているのかもしれません。

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