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2009年3月14日 (土)

日本経済の2008-10年度見通しとW字型回復の可能性

昨夜は長いながらも軽めの経済の話題で済ませてしまいましたが、久し振りに土曜日に長崎にいると時間を持て余してしまい、今日は一昨日の2次QE発表後の日本経済見通しという極めて重いテーマを、一昨日のエントリーの最後でふれた W 字型の2段階調整論とともに取り上げたいと思います。まず、いくつかシンクタンクなどのリポートから作成した見通しの表は以下の通りです。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上で公開されているリポートに限って、特に四半期別の計数があるものを中心に取りまとめてあります。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しました。なお、詳細な情報にご興味ある方は左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ pdf 形式のリポートがダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別画面が開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名200820092010ヘッドライン
日本総研▲3.4▲5.7+0.4景気後退は長期化が予想され、底打ちは2010年10-12月期までズレ込む見通し
みずほ総研▲3.1▲4.9+0.9日本経済は2年連続の大幅マイナス成長に陥る中で、再び深刻なデフレリスクに直面
三菱UFJ証券▲3.0▲1.6+2.5海外経済の持ち直し、原油安、経済対策の効果などから09年度上期に回復へ
富士通総研▲2.8▲4.1+1.1在庫調整の進展により、2009年度半ばには下げ止まるものの、本格的な回復は2010年度にずれ込む
三菱総研▲2.9▲3.7▲0.52009年度中は景気の停滞が続き、2010年中ごろの底固めの期間を経て、その後緩やかに回復パスに回帰
新光総研▲3.3▲4.1+1.1日本経済は10年度にかけても潜在成長率を下回る低成長が続く

まず、一見して分かるのは、三菱UFJ証券を除いて、2008年度よりも2009年度の方がマイナス幅が大きいことです。もちろん、例外も大いにありますし、すべてではないですが、かなり多くのエコノミストのコンセンサスだという気がします。どうしてかというと、すでに2次QEが発表された昨年10-12月期、現在進行形の今年1-3月期がともに▲10%程度の2期連続の大幅なマイナス成長を続けることから、2009年度に向けてのマイナスのゲタがとてつもなく大きいことです。逆に、四半期の成長率パスを見る限り、今年4-6月期以降に2桁マイナス、あるいはそれに近いマイナス成長を見込んでいる機関はありません。逆に、日本総研の見通しでは四半期の成長率で見て、2009年4-6月期までマイナス成長を続けた後、残る7四半期は前期比ですべてプラスの成長を記録すると見込んでいます。景気実感は昨年10-12月期から今年1-3月期を底にして、着実に上向く可能性が高いと考えられます。
次に、景気実感はそうだとしても、これまた、三菱UFJ証券を除いて、少なくとも、2010年度いっぱいは潜在成長率水準を下回る可能性が高いと見通されていることです。三菱総研では3年連続のマイナス成長を見込んでいたりします。要するに、景気回復は極めて緩やかであると考えられます。なお、日本経済の潜在成長率については、主として、最近時点で設備投資の大幅な減少に伴う資本蓄積の伸びの低下から下方にシフトした可能性が高いと私は考えています。もちろん、人口減少社会の本格的な到来に伴う労働力人口の減少も潜在成長率の低下に寄与しています。
三菱UFJ証券を除いて、上の2点が表に収録した見通し作成機関の大雑把な感触なんですが、私は今後の景気の回復過程では W 字型の2段階調整があり得ると考えています。そのひとつの要素は政府の景気対策で、もうひとつはデフレです。今年の前半3-4月くらいを景気の大底と私は考えていますが、これを超えた時点で定額給付金などの政府の財政政策が本格化します。上の表のほかにメールに添付したニューズレターでもらっているリポートも含めて、4-6月期がプラス成長であると結論しているものは、三菱UFJ証券を含めて皆無だったんですが、私はわずかながら4-6月期のプラス成長の可能性は残されていると考えています。定額給付金とETC需要などの政府の財政政策が主たる理由です。しかし、たとえ、プラス成長したり、マイナス幅を大きく縮小したりしたとしても、その後、年末から来年前半あたりにデフレの影響や財政政策の効果が薄れることから再びマイナス成長やゼロ成長を1-2四半期くらい記録する可能性が高いと私は見込んでいます。上の表にリンクを張った詳しいリポートを見れば分かるんですが、新光総研などのように淡々と成長率を回復させる見通しもある一方で、日本総研や三菱UFJ証券のように年央から年後半にかけてややプラス成長となった後、年末から来年前半にかけて、再びマイナスあるいはゼロ成長に戻ってしまうパスも十分にあり得ます。要するに、W 字型の景気回復では今年年央から年後半にかけて財政政策の効果により一時的な景気浮揚が見られるものの、それはホントの景気の底=景気転換点ではなく、その後、需要動向が弱いままで推移する可能性が高いのであれば、デフレの影響や財政政策の効果が切れるため、再び成長率を大きく鈍化、あるいはマイナス成長となる可能性を示唆しています。

現時点で、私も一直線型の景気回復か、W 字型の景気回復かを確度高く見通せる根拠を持ち合わせていませんが、最近時点での機械受注統計やその後の設備投資を考え合わせ、さらに、物価動向が確実にデフレに向かっていることを考慮すると、W 字型の回復の可能性がやや高いんではないかと思わないでもありません。物価動向とともに、財政金融政策、さらに、米国の金融危機対策なども十分に考慮する必要があります。

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