第3次産業活動指数に見る景気底割れの可能性
本日、経済産業省から今年1月の第3次産業活動指数が発表されました。まず、指標のヘッドラインなどに関する記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。
経済産業省が17日発表した1月の第3次産業活動指数(速報、2000年=100、季節調整値)は106.4となり、前月に比べ0.4%上昇した。上昇は3カ月ぶり。官公庁や金融業向けのソフトウエア受注が好調で、情報通信業が4.3%上がったのが主因。医療業や介護事業が堅調だったことも寄与した。
一方、サービス業は個人向けサービスが振るわず、前月比1.0%低下したほか、飲食店・宿泊業も客数の減少でマイナスとなった。原指数は100.9で、前年同月比3.9%低下し、マイナスは6カ月連続。経産省は「トレンドとしては低下傾向にある」とみている。
グラフは上の通りで、第3次産業活動指数の総合とそのうちの小売りについてプロットしてあります。いつもの通り、壁を付けた部分は景気後退期です。先月2月27日付けのエントリーで示した鉱工業生産指数が連続で前月比▲10%減を記録するのと違って、減少の程度はマイルドに見えます。すべてではないですが、第3次産業は一定の産業で在庫を持たない場合がありますから、景気の波は緩やかです。特に、小売りは底堅く動いているように見えなくもありません。引用した記事にもあるように、情報通信業や医療・福祉関係が伸び、季節調整し切れていない可能性もあって郵便を含む複合サービス事業が前月比で2桁増となっています。下落したのは記事にもある通り、飲食店・宿泊業とともに、運輸業、娯楽や広告を含むサービス業となっています。景気の波が製造業ほど明瞭ではない第3次産業にあっても、生活必需の部分と娯楽性や嗜好性の高い選択的消費の部分とで明暗を分けるのが景気後退期の第3次産業の特徴です。
日本と米国と、どちらも景気後退局面にあるんですが、日本は企業がより大きなダメージを受けて生産や設備投資が大きくマイナスになっているのに対して、米国では家計が企業より大きなダメージを受けていて、消費が大きく鈍化ないし減少しています。日本で景気が底割れするというような状態になれば、この第3次産業活動指数のうちの小売りに注目する必要があると私は考えています。先の景気回復期では、景気転換点を超えてから小売りが伸び悩んだのは、言うまでもなくデフレの影響です。世界各国でデフレ圧力は強まりつつありますが、景気後退が続いている中でデフレに陥るようなことがあれば、控えめに言っても、前の景気回復初期のデフレとは違った様相を見せる可能性が高いんではないかと考えられます。
景気の底割れを防ぐためにもデフレを防止する金融政策の役割は重要です。今日からの日銀金融政策決定会合は無風と見られていますが、来月には日銀短観も出ますし、何かデフレ防止のための強力な金融政策が打ち出される可能性に期待したいと私は考えています。
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