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2009年3月 5日 (木)

法人企業統計調査と国際セミナーの開催

法人企業統計調査

まず、本日、財務省から昨年2008年10-12月期の法人企業統計調査の結果が発表されました。金融機関を除くベースでの売上高、営業利益、経常利益の前年同期比は上のグラフの通りです。今夜も、バブル崩壊後の景気後退期との比較が出来るように1980年からグラフを書いてみました。売上高の落ち込みはバブル崩壊後の景気後退期を上回り、ほぼ今世紀に入ってからの IT バブル崩壊後に匹敵します。グラフにはないんですが、営業利益や経常利益の減少は第1次石油危機後に匹敵します。例えば、6四半期連続減益となった経常利益の2008年10-12月期の減益率は前年同期比で▲64.1%となり、統計がさかのぼれる1955年以降では過去最悪だった第1次石油危機直後の1974年10-12月期の▲64.5%と並ぶ悪化幅を記録しました。
何を取ってもかなり悪い数字だったんですが、設備投資もかなり本格的に落ち始めています。さらに、この先行きを考えると、売上高は一定の範囲で鉱工業生産との連動が観察されますから、今年前半には▲30%くらいの売上ダウンがあり得ると私は考えています。最後に、今月発表される昨年10-12月期のGDP統計のいわゆる2次QEは1次QEからわずかながら下方修正される可能性が高いと私は見ています。

それから、今日の午後に大学で国際セミナーを開催しました。ブルガリアのソフィア大学からネノフスキー教授をお招きし、また、京都大学のヤルナゾフ准教授もごいっしょに、現在の金融危機の東欧への影響などについてプレゼンテーションをしていただきました。気のいい知人の中には、私のことを国際派エコノミストと考えてくれる人がいなくもなく、いろんな経緯があって私がチェアを取りました。大学での研究や研究交流活動の一環です。いくつか茶々を入れて、ネノフスキー教授が中央銀行のご出身ということでしたので、ブルガリアが採用しているカレンシー・ボードについての質問もしました。私が考えるに、独立した金融政策運営を放棄してまでカレンシー・ボードを採用して為替レートをペッグする目的は、第1に為替リスクを大幅に軽減することは直接投資の受入れに有利だからということと、第2に為替レートをアンカーとして、あるいは、外貨を貨幣発行の基礎としてマネーサプライの増発を抑えることにより、物価安定を達成するためであると理解しているんですが、ブルガリアの場合はいかがだったのかをお聞きしました。政治経済学的にかなり複雑な内幕があったようで、実際に取られたのはドイツマルクペッグからユーロペッグだったんですが、ドルペッグも考慮されていたと知って、とっても興味深かったです。そういえば、ロシアの侵攻を受けたグルジアなどは極めて政治的な配慮からドルペッグしていることを思い出してしまいました。
下の写真は、チェアを取っている私を中心に写してもらったのと、セミナーを終えた後の記念撮影です。久し振りに英語で経済を議論して、それなりの刺激を受けました。次のペーパーは英語で書いてみようと考えてしまいました。

国際セミナーの風景

国際セミナーを終えて記念写真

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