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2009年5月16日 (土)

新型インフルエンザからパンデミックの恐怖を考える、ほか、いろいろ

今日午後の民主党の代表選で鳩山由紀夫さんが新しい党代表に選出されましたが、まったくどうでもいいジョークを思い出してしまいました。というのは、私の愛読書のひとつである「ハリー・ポッター」のシリーズ第2話『秘密の部屋』から登場して、後にホグワーツ校の厨房などで働く屋敷しもべ妖精のドビーの外見は、もっぱらのウワサとして、ロシアのプーチン首相をモデルにしていると言われていたんですが、大昔に、私の知り合いの誰かが「日本ならさしずめ鳩山由紀夫さんではないか?」と言っていたのを思い出してしまいました。分かる人にしか分からないジョークだったりします。

エントリーの最初の軽いつかみのジョークは終わりにして本題に入ると、すでに、いろんなメディアで報じられている通り、今朝、神戸で海外渡航経験のない高校生が新型インフルエンザに感染していることが確認されました。海外からの帰国者を除いて、国内でのヒト-ヒト感染が強く疑われる感染例の発生として注目を集めています。まず、朝日新聞のサイトから記事を最初の2パラだけ引用すると以下の通りです。

厚生労働省は16日、国立感染症研究所での詳しい検査で、神戸市内の県立高校3年生の男子が新型の豚インフルエンザに感染していることを確認した、と発表した。検疫を除く国内で初めての発生。同じ高校に通う2人の高校生も、神戸市環境保健研究所の検査で、陽性反応が出ている。3人とも渡航歴はなく、国内で人から人への感染が広がっている可能性がある。
政府は同日午後、対策本部の幹事会を招集し、新型インフルエンザの国内対策をこれまでの「第1段階(海外発生期)」から、「第2段階(国内発生早期)」に切り替える予定。水際での食い止め重視から、地域での感染拡大防止を主眼にした段階に移る。

記事にもある通り、同じ高校に通う他の2人や他の高校の生徒からも陽性反応が出ており、他にかなりの人数が体調不良を訴えていると報じられています。神戸市では東部地区のすべての市立小中高校と幼稚園を来週いっぱい休校・休園にすることを決めており、感染拡大の防止に努めています。厚生労働省も職員を派遣すると報じられていますから、感染拡大防止とともに感染経路の解明も進められるんだろうと思います。それにしても、6年前のSARSの時も関西圏が巻き込まれたんですが、海外からの感染例とはいえ、大阪の府立高校生と教員も長らく成田で回復を待っていましたし、今回の豚由来の新型インフルエンザも関西から感染者を多く出しているような気がします。単なる偶然かもしれませんし、単なる偶然以外の何かが作用しているのかもしれません。
官庁エコノミストとしてキャリアを送ってきた私の専門外もはなはだしいですし、報じられている以上の詳細な情報は持ち合わせませんが、現在の新型インフルエンザの特徴として上げられているうちで私が注目しているのは次の2点です。すなわち、第1に、季節性のインフルエンザと比較しても致死率が飛び抜けて高いわけではなく、そんなに強烈な強毒性ではないように見受けられることです。第2に、理由は専門家にもいまだ不明ながら、60代以上の人の死亡例が極端に少なく、その年代の人が何らかの免疫を有している可能性があることです。さらに付け加えれば、従来から想定されていた鳥由来ではなく、豚由来であるという点もありますが、SARSの時は聞き慣れないハクビシンまで持ち出されましたから、どの動物に由来しているのかは私のような一般人には関係が薄いのかもしれません。
通常の季節性のインフルエンザよりも致死率がそう高くなく、60代以上の人に免疫がある可能性があるとすれば、感染力の問題になります。と言うのは、パンデミックの恐怖は致死率と感染力の掛け算になると私は考えているからです。どちらかがゼロであれば結果はゼロです。このパンデミックの恐怖が一定の水準よりも大きければ、私の専門分野の経済なんかは国民の生命や健康の観点からすれば吹っ飛んでしまいます。医療は言うまでもなく、電力や水道などのライフラインを最低限確保しつつ、経済活動は極端に言えばストップして、GDP成長率が瞬間風速で大きなマイナスになろうとも、国民生活の豊かさや便利さを犠牲にするくらいの覚悟で、国民の生命や健康を守る政策が採用されるべきことは当然です。しかし、致死率がそれほど高くなく、パンデミックの恐怖が一定の水準を超えないのであれば、国民生活の豊かさや便利さを支える経済活動などとのトレードオフを考えることになります。トレードオフとは、要するに、2変数の間に負の相関があることから、一方を重視すれば他方は軽視される関係です。経済学の分野としては労働などにトレードオフが多くみられ、私の授業でも詳述していますので、このブログでも来週あたりに取り上げようと考えています。いずれにせよ、非常に複雑な利害がからむんでしょうが、社会的な効用関数とコスト関数を適切に設定すれば、経済学的な意味での最適解が導出される可能性はあります。ただし、今までそんなことが出来た例はありません。

次に、タイトルとは何の関係もなく、昨日、欧州統計局 Eurostat から季節調整済の前期比でユーロ圏の1-3月期のGDP成長率は▲2.5%であったと発表されました。一応、エコノミストとして欧州経済もフォローしているということで、Financial Times のサイトから European Economic Forecast のフラッシュを引用しておきます。ドイツと英国は土砂降りです。

最後に、これまた、新型インフルエンザともパンデミックとも何の関係もなく、羽生名人と郷田九段の第67期将棋名人戦7番勝負については、このブログでもたびたび取り上げていますが、下の写真では、将棋に熱心な下の子が名人戦の扇を両手に持ってご満悦の表情です。

名人戦の扇を持つ下の子

向かって右の扇には羽生名人と郷田九段が1字ずつ、羽生名人は、郷田九段はと揮毫しています。向かって左は羽生名人のみの揮毫で一陽来復と読めます。割と有名な四文字熟語で、『易経』からの出典だと思います。陰陽道にも出て来るのかもしれません。さすがに、名人戦に出るようなレベルの棋士になると墨痕鮮やかに揮毫し、落款なんかも持っているんだと、今さらながら、しょうもないことに感心していたりします。下の子には私から、その辺の渋谷あたりの街頭で配っている団扇のようにパタパタとあおいで実用的に使うべきものではなく、飾りや置物の類であって厳重に保管に努めるように言い渡してあります。我が家のお宝ともいえる取っておきの逸品としては、私が大使館勤務の時にご訪問いただいた皇族方の宮様から拝領した三段重ねの盃があるんですが、それに次ぐ品ではないかと思います。

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