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2009年6月14日 (日)

NHK土曜ドラマ「風に舞いあがるビニールシート」を見る

5月30日から放映の始まったNHKの土曜ドラマ「風に舞いあがるビニールシート」を見ています。青山の我が家の近くにある国連大学ビルにオフィスを構える国連難民高等弁務官事務所 (UNHCR) を舞台にしていますので、見慣れた建物がよく登場します。5回シリーズで、昨夜は第3回目に当たり、エドの死亡が確認された中盤のクライマックスが放送されました。主演は吹石一恵さん、原作はいうまでもなく森絵都さんの同名の短編集『風に舞いあがるビニールシート』の最後に収められている同じタイトルの短編です。直木賞を授賞された作品で、私も2006年7月31日のエントリーで読書感想文をアップしています。ご参考まで、「表題作はベタベタの恋愛小説であることは間違いなく、私はこの表題作が短編の中では一番嫌い」との評価を下しています。念のため。なお、下の画像は4月にこの短編集が文庫化された時のものです。しっかり、NHKドラマのことも帯で宣伝されています。

「風に舞いあがるビニールシート」

私が短編集の中で表題作を評価しなかったのは「ベタベタの恋愛小説」であるとともに、UNHCR の活動の中でも広報や資金活動などよりフィールドでの体を張った活動を称賛しているような趣きが私には感じられたことで、極めて大袈裟に言えば、職業観に関するカギカッコ付きの「軍国主義」的な傾きを示唆しかねない見方まで含めて恋愛小説として表現しているような感覚をホンの少し感じたからです。もちろん、評価は人それぞれですから、要するに私には評価できないというだけであって、実は、私なんかが代表なんですが、紛争や難民とは無関係に平穏無事な日々を送っている大部分の日本人に対して、緊急ロスターでは遺書まで用意してフィールドに赴く UNHCR の活動を紹介するのは大いに意味があることだということは十分に評価しています。繰返しになりますが、カギカッコ付きの「軍国主義」的な職業観は別にしても、UNCHR の活動をドキュメンタリーではなく、例えば、昨夜放映されたドラマで出て来ましたが、エドが緊急連絡先リストのトップに離婚した妻であるヒロインを指定していたり、広報部門の上司がヒロインにエドの遺体の処理を聞きに来た時にヒロインの友人が激しく抗議するなど、恋愛小説にしてしまうことが私の好みに合わないということだと思います。いずれにせよ、文庫本で80ページほどの短編を1回当たり1時間近い5回シリーズのドラマにするんですから、当然ながら、小説にないエピソードがいっぱい盛り込まれています。原作者が執筆するに際して取材中に得たエピソードなのか、NHKが独自に取材して付け加えたものかは知りませんが、恋愛小説からドキュメンタリーに近くなっているんではないかと期待して見始めました。5回シリーズの3回目まで見て、期待は半分ほどかなえられた気がしないでもありません。
ついでながら、ノンフィクションのドキュメンタリーを映像化するのではなく、小説をドラマや映画にするのは難しいことだと思います。例えば、これも直木賞を受賞して、私も2006年1月31日付けのエントリーで読書感想文を書いた東野圭吾さんの『容疑者Xの献身』が映画化されて昨年封切られたんですが、原作にはない女性刑事の役が付け加えられていると知った瞬間に、柴咲コウさんには申し訳ないながら、私は映画を見る気をなくしてしまいました。村上春樹さんの多くの小説や恩田陸さんのほとんどの作品は映像化になじまない気がしないでもありません。『ノルウェイの森』は映画化されるようですが、先週6月5日のエントリーで取り上げた『1Q84』は映画化されても見に行かないかもしれません。恩田陸さんの小説は実写よりもアニメの方が適していそうな気もします。海外の有名どころを例にすると、『ジュラシックパーク』や『ハリー・ポッター』のシリーズなども含めて、映像化しやすいファンタジーとそうでないのがあるように感じます。

最後に、NHKドラマともファンタジー小説とも何の関係もないことながら、阪神は今日も負けて5連敗となりました。先週の日曜日に4連勝の記事をアップしたのが2-3年前のことのようです。今年はもう虎ブロはアップしないかもしれません。

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