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2009年9月11日 (金)

ちょっとびっくりで設備投資が下方修正された2次QE

本日、内閣府から4-6月期のGDP2次速報、エコノミストの業界で言うところの2次QEが発表されました。1次QEでは季節調整済み実質系列で見て前期比+0.9%成長、年率換算で+3.7%成長だったのが、2次QEでは前期比+0.6%、年率+2.3%に下方修正されました。設備投資と在庫がともに下方修正されています。まず、いつもの日経新聞のサイトから統計のヘッドラインなどに関する記事を引用すると以下の通りです。

内閣府が11日発表した4-6月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動を除いた実質で前期比0.6%増、年率換算で2.3%増だった。8月公表の速報値に比べて前期比が0.3ポイント、年率が1.4ポイントの下方修正となった。生産調整が進み、企業が在庫を圧縮したことがGDPの押し下げにつながった。
設備投資や公共投資も下方修正となった改定値は、速報値の公表後にまとまった法人企業統計などのデータを基に、GDPを推計し直したもの。改定値では、企業の在庫投資の寄与度のマイナス幅が拡大。速報値でマイナス0.5ポイントだった寄与度が0.8ポイントに下がった。1999年1-3月期に次ぐ下落率となった。
在庫の削減は経済が回復局面にあることを示す。GDP速報値では在庫額を過去のトレンドなどから推計するが、改定値では法人企業統計を基に計算する。同統計によると、4-6月期の在庫投資額は7446億円のマイナス(在庫の取り崩し)で、前の期に引き続き企業が過剰な在庫の削減を進めている姿が浮き彫りになった。

次に、いつものGDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者所得を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは名目ですし、デフレータだけは伝統に従って原系列の前年同期比となっています。アスタリスクを付した民間在庫と外需は前期比伸び率に対する寄与度表示となっています。今回から内需デフレータを入れてみました。なお、計数は正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は保証しません。正確な計数は最初にお示しした内閣府のリンクからお願いします。

需要項目2008/
4-6
2008/
7-9
2008/
10-12
2009/
1-3
2009/4-6
1次QE2次QE
国内総生産(GDP)▲0.7▲1.3▲3.4▲3.3+0.9+0.6
民間消費▲0.9+0.1▲0.7▲1.2+0.8+0.7
民間住宅+0.0+3.5+2.6▲5.7▲9.5▲9.5
民間設備▲1.5▲4.9▲7.1▲8.5▲4.3▲4.8
民間在庫 *+0.6▲0.5+0.6▲0.3▲0.5▲0.8
公的需要▲1.4+0.1▲1.5+0.5+1.2+1.1
外需 *▲0.3▲0.2▲2.9▲0.9+1.6+1.6
輸出▲4.1▲0.7▲13.6▲22.5+6.3+6.4
輸入▲3.1+0.2+2.5▲14.9▲5.1▲5.1
国内総所得(GDI)▲1.4▲2.3▲1.0▲1.5+0.5+0.2
名目GDP▲1.1▲2.6▲1.2▲2.7▲0.2▲0.5
雇用者所得▲0.3▲1.0+0.5▲0.5▲1.7▲1.7
GDPデフレータ▲1.5▲1.5+0.7+0.9+0.5+0.5
内需デフレータ+1.0+1.5+0.3▲1.0▲1.7▲1.8

さらに、同じく季節調整済みの実質系列のGDPコンポーネント別の前期比伸び率で寄与度表示したグラフは下の通りです。左軸の単位はパーセントです

GDP寄与度の推移

今回の2次QEで注目すべきは設備投資と在庫です。季節調整済みの実質系列で前期比成長率が+0.9%から+0.6%に下方修正されたのは、繰返しになりますが、設備投資と在庫です。成長率が▲0.3%ポイント下方修正されたうち、設備投資が▲0.1%ポイント、在庫が▲0.3%ポイントの寄与度があり、ほとんどすべて在庫に起因すると言えます。要するに、やや皮肉な言い方になりますが、先月8月17日に発表された1次QEから1か月足らずの間にGDP比で▲0.3%ポイントの寄与を示す指標が明らかになったと言えます。ついでながら、引用した記事にもある通り、一昨年から始まった景気後退期以降で初めて在庫が取り崩され、在庫品増加は4-6月期にマイナスを記録しました。基本的に、在庫調整が進展することはいいことだと私は受け止めていますし、現在の景気局面は回復の初期に当たりますので、今後、景気が順調に回復すると仮定すれば、在庫の積み増しに至るものと思います。しかし、この「景気が順調に回復すると仮定すれば」という仮定は、少なくともこの先半年くらいのタイムスパンでは極めて怪しいと私は考えてます。他方、今週月曜日の9月7日付けのエントリーで2次QE予想を取り上げた際にも言及した通り、設備投資は上方修正されると予想していただけに、タイトル通り、ちょっとびっくりです。昨日のエントリーで取り上げた機械受注が現時点でようやく下げ止まりつつある状況を含めて考えると、この先、年度内いっぱいくらいは設備投資が盛り上がりを欠いたままに推移する可能性が高いような気もします。

今年前半のGDPが出て、今後の日本経済の注目点はGDPベースでは、第1に、春からのグリーン家電やエコカーのブームが一巡した後の消費の持続性です。第2に、在庫が意図せぬ取り崩しの段階から意図的な積み増しの段階に入るかどうかです。第3に、設備投資がどの時点で回復を見せるかです。もちろん、GDPベース以外で最大の注目点は来週にも発足する新政権の経済政策動向とその影響を受ける雇用情勢です。まだまだ景気回復の足取りの鈍い日本経済から目が離せません。

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