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2009年9月24日 (木)

貿易統計から景気回復の実感を考える

長い連休も昨日で終わり、今日は、財務省から8月の貿易統計が発表されました。まず、いつもの日経新聞のサイトから統計のヘッドラインに関する記事を引用すると以下の通りです。

財務省が24日発表した8月の貿易統計速報(通関ベース)は、輸出額が前年同月に比べて36.0%減の4兆5111億円になった。自動車や鉄鋼などの輸出が前年に比べて減ったことが響いた。ただ、下落率は7月に比べて0.5ポイント縮小。輸出の額は依然として金融危機前の水準を下回るが、落ち込み幅が拡大する事態には至っていない。
輸入額は前年同月比41.3%減の4兆3254億円。輸出から輸入を差し引いた貿易収支は1857億円の黒字となり、前年同月の赤字から黒字に戻った。
8月の輸出動向を国別にみると、米国向けは前年同月比34.4%の減少。乗用車や金属加工に使う工作機械が依然として振るわなかった。輸出額の下落率は2カ月ぶりに縮小した。

いつもの貿易統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは青い折れ線が輸出、赤が輸入、緑の棒グラフはその差額である貿易収支です。いずれも左軸の単位は兆円です。下のパネルは輸出の前年同月比を数量と価格で要因分解したものです。上下のパネルともすべて季節調整していない原系列です。

貿易統計の推移

まず、輸出も貿易収支もともに順調に回復していることが統計から確認できます。輸出については回復が鈍化しているとの観測もあり、季節調整していない原数値での比較は難しいものの、8月の輸出数量指数の季節調整値の伸びは前月比で6.1%の伸びとなり、7月の0.5%増から加速したと内閣府で試算しているとの記事を日経新聞のサイトで見かけましたし、8月末の総選挙結果と9月の政権交代を受けて、理由はやや不明ながら円高が少し進みましたが、その後は為替レートも安定しており、先進国の景気回復と新興国の成長に支えられて輸出は順調に拡大基調に戻りつつあると私は受け止めています。ただし、直近の円高ではなく昨秋来の円高がジワリとこれから効いて来る可能性はあります。また、日本以外の先進国の景気対策も日本と同様に息切れする可能性も排除できませんし、手放しで輸出の回復というわけにいかないことも確かです。
一応、順調な輸出の伸びを前提にした議論で、やや不確定要素もあるものの、一般的に言って、輸出は非製造業ではなく製造業が担っており、それも企業規模が大きいほど国際競争力があると考えられますから、国際化の恩恵、すなわち、輸出により売上げを伸ばすことが出来る製造業大企業の回復ピッチは、輸出できないがゆえに内需に依存する非製造業や中小企業よりかなり速くなっているんではないかと私は想像しています。逆に言えば、部分的ながらも世界市場を相手にする製造業大企業と国内市場のみで勝負する非製造業や中小企業で、もしも何らかの景気回復ペースや企業マインドに乖離を生じているとすれば、外需と内需で回復テンポの差が生じている可能性があります。さらに、まだまだ輸出は実質GDPの十数%ですから、内需の占める割合が圧倒的に高いわけで、景気回復の実感が感じられないのは、経済活動の水準が低いことともに内需が相対的に低迷している可能性が指摘できます。少なくとも、企業マインドについては来週の10月1日に発表される9月調査の日銀短観で明らかになると私は考えています。

来週は日銀短観とともに、消費者物価、雇用統計、鉱工業生産指数などの重要な経済指標が発表されますから、日本経済が2番底に向かうのかどうか、夏場までの勢いが見どころかもしれません。

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