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2009年9月 8日 (火)

UNCTAD の経済見通しと日本の経常収支と日米のマインド調査

昨夜から本格的に経済評論の日記を復活させて、今夜は一気にいっぱい取り上げます。
まず、昨日、国連貿易開発会議 (UNCTAD) が Trade and Development Report 2009 を発表しました。もちろん、pdf ファイルのリポートも web サイトにアップされています。いつもの日経新聞のサイトから引用した記事は以下の通りです。

国連貿易開発会議(UNCTAD)は7日発表した2009年版貿易開発報告で、10年の世界経済の成長率が1.6%以下にとどまると予測した。09年のマイナス2.7%成長からプラス成長に転じるが、反発力は弱く、本格回復には時間を要すると分析した。
先進国の09年の成長率は軒並み悪化し、全体ではマイナス4.1%になると予測した。最悪が日本のマイナス6.5%で、「輸出と外国からの投資という2つのエンジンが直撃を受けた」としている。ドイツ(マイナス6.1%)やイタリア(マイナス5.5%)も大幅に悪化する。

リポートの Overview の最初のページに上に引用した記事にある通り、"global GDP growth may turn positive again in 2010, but it is unlikely to exceed 1.6 per cent." との表現が見えます。2010年の見通しは国別になっていないんですが、リポートの p.2 から2009年までの国や地域別の成長率見通しの表を引用すると以下の通りです。

World Output Growth, 1991-2009

次に、本日、財務省から7月の国際収支統計が発表されました。貿易収支はからり回復して来たんですが、金利が低下したため所得収支の黒字幅が小さくなり、季節調整していない原系列で見て前年同月より▲19.4%減ながら1兆2656億円の黒字を記録しています。最近の主要な収支項目別の推移は下のグラフの通りです。

経常収支の推移

最後に、本日、内閣府から8月の景気ウォッチャー調査が、また、9月3日に米国サプライ管理協会から 同じく8月の Manufacturing ISM Report On Business が、それぞれ発表されています。景気ウォッチャー調査は街角景気と通称されるように一般国民が対象となっており、ISMは企業の購買部が対象ですから、かなり調査対象は異なるんですが、一応、日米のマインド調査と言えます。日本の景気ウォッチャー調査は先月発表分から天候不順などを契機に少し下向き加減ですが、米国の製造業ISM指数は一本調子で上昇しており、とうとう50を超えました。多くのエコノミストが知っている通り、ISM指数が50を下回っている時には米国連邦準備制度理事会 (FED) は利上げをしないと言われていますが、50を上回ったとたんに利上げするというものでもないと思います。いずれにせよ、日米のマインド調査における差は先行きの日米景気の動向を暗示しているように私は受け止めています。グラフは下の通りです。

景気ウォッチャー調査とISM製造業PMIの推移

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