村上春樹『スプートニクの恋人』(講談社)を読み、『1Q84』BOOK 3 とノーベル文学賞を考える
村上春樹さんの『スプートニクの恋人』を読みました。正確に言うと読んだのは2回目です。いろいろとある村上作品のうちで、初期の作品として私が最も好きなのは3月4日のエントリーで取り上げた『羊をめぐる冒険』です。そして、最新刊の『1Q84』の間をつなぐのは私は『スプートニクの恋人』だと考えています。もちろん、奇数章と偶数章とで交互に物語を進める方法は『海辺のカフカ』などと同じで、『アフターダーク』なども秘めたる暴力的な要素があって、ともに『1Q84』につながる部分があるんですが、「空気さなぎ」とドッペルゲンガー的な「向こうの世界」が期を一にしているような気もします。
『スプートニクの恋人』の講談社と『1Q84』の新潮社と出版社は違いますが、最近の報道を見ると『1Q84』の BOOK 3 が来夏にも出版されるようです。私が見た範囲では毎日新聞のインタビューで村上春樹さんが明言していますから、事実なんだろうと受け止めています。BOOK 1 が4-6月、BOOK 2 が7-9月でしたから、当然、BOOK 3 は10-12月なんだろうと思います。なお、6月5日にアップしたエントリーで、私は BOOK 3 はなく完結だと断定しましたが、間違っていたようです。お詫びして訂正します。自殺したらしく見える青豆をどのように復活させるのか、最後の「空気さなぎ」が青豆であることは確かなのですが、それとの関係をどうプロットするのか、非常に興味あるところです。渋谷近くの人混みでの自殺ですから、シャーロック・ホームズの復活ほど簡単ではないような気がします。
昨日の医学・生理学賞から始まって、今日の物理学賞と明日の化学賞はまさにノーベル賞のハイライトです。私の専門分野の経済学賞は来週回しですが、ハイライトの物理学賞と化学賞に続く木曜日はいよいよ文学賞です。もしも村上春樹さんが受賞すると仮定すれば、対象作品は『海辺のカフカ』ではなかろうかという気がします。
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