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2009年10月22日 (木)

為替に起因する輸出の増勢鈍化から2番底に向かうのか?

本日、財務省から9月の貿易統計が発表されました。輸出額が前年同月に比べて▲30.7%減の5兆1047億円となった一方で、輸入額は同じく▲36.9%減の4兆5841億円となり、差引きの貿易収支は5206億円の黒字を記録しました。まず、いつもの日経新聞のサイトから関連する記事を引用すると以下の通りです。

財務省が22日発表した9月の貿易統計速報(通関ベース)は、輸出額が前年同月に比べて30.7%減の5兆1047億円になった。ロシア向け自動車や韓国向け鉄鋼などが前年比で落ち込み、12カ月連続で前の年を下回った。ただ、下落率が8月に比べて5.3ポイント縮小するなど、足元では改善が進んでいる。景気対策などで高成長が続く中国を中心に、アジア向けが輸出全体の回復をけん引している。
輸入額は前年同月比36.9%減の4兆5841億円。輸出から輸入を差し引いた貿易収支は5206億円の黒字となり、前年同月の6倍近くに拡大した。単月では昨秋のリーマン・ショック後で最大の黒字となった。
9月の輸出額は対欧米、アジアともに減少ピッチが緩やかになった。米国向けは前年同月比34.1%減と、前月に比べ0.3ポイント改善。欧州連合(EU)向けは前年同月比38.6%減と、減少率が7.3ポイント縮まった。
アジア向け輸出は前年同月比22.2%減と、8月に比べて8.4ポイント改善した。うち中国向けは13.8%減と、8月の減少率(27.6%)の半分に縮まっている。

いつものグラフは以下の通りです。上の2つのパネルは輸出入と貿易収支、いずれも水色の折れ線が輸出額、赤が輸入額、緑色の棒グラフが貿易収支で、左軸の単位は兆円です。どちらも月次計数ですが、一番上のパネルは原系列、真ん中のパネルは季節調整済み系列です。一番下のパネルは季節調整前の原系列の輸出額の前年同月比を数量と価格で寄与度分解したものです。

貿易統計の推移

まず、輸出を上の真ん中のパネルの季節調整済み系列で見ると、明らかに増勢に鈍化が見られます。9月単月で考えると米国のエコカー補助が終了した影響などもありそうですが、新興国はまだしも先進国経済の回復が一段落していることに加え、私は為替の影響が大きいと考えています。昨年9月のリーマン・ショックの後、米国の連邦準備制度理事会 (FED) や欧州中央銀行 (ECB) やイングランド銀行 (BOE) はいっせいに量的緩和に踏み切って、何度もこのブログでお示ししましたが、猛烈なバランスシートの拡大が観察された一方で、日銀は及び腰でした。例えば、このブログで取り上げた範囲では、3月18日付けのエントリーの日米両国中央銀行のバランスシートのグラフを見れば明らかです。この差が為替に反映されています。ソロス・チャートの再来かもしれません。もちろん、直近では新政権発足直後の財務大臣の不用意な発言が拍車をかけた面もあります。でも、為替レートが輸出に影響を及ぼすのは1年くらいのラグがありますから、まさに、リーマン・ショック後の各国中央銀行の対応の違いが為替に表れて現在の我が国の輸出の増勢鈍化をもたらしたと私は受け止めています。
下のグラフは1973年3月を100とする実質実効レートと対ドルのスポットレートの推移です。もちろん、いずれも為替レートなんですが、ややこしいのは向きが異なることで、赤い折れ線の実質実効レートは数字が大きいほど、すなわち、グラフで上に行くほど円高ですが、水色のスポットレートは対ドル相場ですから数字が小さいほど、すなわち、グラフで下に行くほど円高です。少し難しいかもしれませんが、よく理解の上ご注意ください。

為替相場の推移

4-6月期のGDP統計は季節調整済みの前期比で見て+0.6%成長のうち、+1.6%もの外需の寄与がありました。要するに、内需はマイナスだったわけです。おそらく、7-9月期は外需の寄与度は気前よく見積もっても+0.5%くらいではないかと直感的に考えています。ひょっとしたら、+0.2-0.3%くらいに縮小すると私は受け止めています。従って、日本の景気は年末から年始にかけて2番底をうかがう可能性が高まったと考えるべきです。そして、その原因の少なくとも一部が日銀にあることは明らかです。

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