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2009年10月27日 (火)

東野圭吾『新参者』(講談社) を読む

東野圭吾『新参者』(講談社)東野圭吾さんの『新参者』(講談社)を読みました。東野圭吾さんの推理小説では私が以前に読んだ『容疑者 X の献身』に出て来る「ガリレオ」こと湯川学とこの『新参者』の加賀恭一郎のキャラクターが有名なんでしょうが、今回読んだのは後者のシリーズの最新作です。前者のシリーズの主人公は帝都大学の物理学准教授である天才物理学者の湯川学、後者は言うまでもなく、警視庁練馬署などに勤務している刑事の加賀恭一郎です。『新参者』から日本橋署に転勤になったという設定です。加賀恭一郎は東野作品初登場の『卒業』ではまだ大学生で、卒業後に教師になったものの、ある生徒間の出来事から「教師としては失格」と判断して教師を辞め、父親と同じ警察官となり、捜査一課から練馬署の捜査一係の巡査部長に勤務し、その後、久松署に転勤、現在は日本橋署で警部補として勤務していることになっています。このあたりは Wikipedia の「加賀恭一郎シリーズ」から引用しています。というのは、私は東野作品の加賀恭一郎シリーズを読むのは初めてだからです。目次は以下の通りです。左上の表紙の画像とともに、講談社BOOK倶楽部のサイトから引用しています。なお、推理小説ですから気をつけてはいますが、幾分なりともネタバレが含まれる可能性がありますので、読み進む場合はご注意ください。

東野圭吾『新参者』(講談社) 目次

事件は日本橋の一角で発見された1人暮らしの40代半ばの女性の絞殺死体から始まります。日本橋署に着任したばかりの加賀恭一郎は本庁の刑事とともにアチコチと聞込みに回ります。軽く想像される通り、上の各章の最初の方に出て来る人物は真犯人ではありません。しかし、いろいろと不可思議なエピソードを通じて、日本橋界隈の人情話が展開されます。私も独身のころに浅草近くの下町にアパートを借りていましたので、この辺りは懐かしく感じないでもありません。特に、第1章から4章までのエピソードは秀逸な出来栄えだと思います。もちろん、最後には真犯人が捕らえられ、これまた、殺人事件と微妙にからんで親子関係にまつわる秀逸な結末を迎えます。他の加賀恭一郎シリーズをまったく読んでいないので何とも言えませんが、さすがに日本推理作家協会の理事長である東野圭吾さんの最新作は素晴らしい作品に仕上がっています。

日曜日のローカル紙長崎新聞の読書欄では、長崎駅前のメトロ書店で『新参者』がベストセラーのトップでした。4年近く前の2006年1月31日付けのエントリーにおいて、直木賞を授賞された『容疑者 X の献身』に5ツ星を付けたような気がしますが、この『新参者』もやっぱり5ツ星です。多くの方が手に取って読むことを願っています。

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