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2009年10月 9日 (金)

底這い続ける機械受注と回復遅れる設備投資

本日、内閣府から8月の機械受注統計調査報告が発表されました。統計のヘッドラインとなる船舶・電力を除く民需、いわゆるコア機械受注は季節調整済みの前月比で見て+0.5%増と、市場の事前コンセンサスであった+2%台前半を大きく下回りました。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

内閣府が9日発表した8月の機械受注統計によると、設備投資の先行指標となる「船舶・電力を除く民需」(季節調整値)は前月比0.5%増と2カ月ぶりにプラスとなった。ただ水準は受注額が過去最低だった前月から0.5%伸びたにすぎず、底ばいが続いている。同統計は半年ほど先の設備投資動向を予測できる先行指標として知られており、民間投資の持ち直しは来年前半以降にずれ込む可能性がある。
鉱工業生産は春先から持ち直しが続いているが、ピーク時の7-8割までしか戻っていない。設備の過剰感は強く、生産機械の発注を大幅に増やす状況にはない。需要者別でみると自動車や鉄鋼業からの受注が増えたが、水準は1年前の半分程度と低く、本格回復への道のりは遠い。通信業や建設業など非製造業からの受注額もマイナスが続いている。
国内経済は4-6月期にプラス成長に転じ、持ち直しつつある。ただその主な要因はエコカー減税などの政策効果。個人消費や設備投資といった民需が主導する自律回復にはほど遠く、景気の浮揚力は依然として弱い。

次に、いつものグラフは以下の通りです。青い折れ線が季節調整済みの月次系列のコア機械受注、赤がその6か月後方移動平均です。いずれも左軸の単位は兆円です。影を付けた部分は景気後退期を表していますが、直近の谷は今年2009年3月と仮定しています。

コア機械受注の推移

グラフを見れば明らかなんですが、コア機械受注は底這い状態が続いています。先月9月10日のエントリーで機械受注統計を取り上げた際には「機械受注もそろそろ下げ止まりに向かいつつある」と書き、その翌日の9月11日に4-6月期GDPの2次QEを取り上げた際には「年度内いっぱいくらいは設備投資が盛り上がりを欠いたままに推移する可能性が高い」と書きましたが、今月の予想外に弱い数字を受けて、機械受注統計の底這いがいつまで続くかによってGDPベースの設備投資の回復も遅れる可能性が高まったと受け止めるべきです。10月1日のエントリーで日銀短観を取り上げた際にも、雇用の過剰感が急速に薄れている中で、設備の過剰感が根強く残っていると指摘しましたが、設備投資の回復は軽く年をまたいで、年度内いっぱいは設備投資の減少が続き、回復は来年年央くらいと考えています。しかし、今日のエントリーのテーマではないものの、雇用の方は比較的早期に回復する可能性があります。

船舶の手持ち月数と受注残高の推移

最後に長崎ローカルで注目されている船舶の受注残高と手持ち月数です。毎月のフローの受注については volatile な数字なのでストックの受注残高について見ると、受注残高がピークを付けた昨年2008年9月の7.2兆円から直近の8月は6.1兆円までほぼ1年で1兆円のネットの受注を食い潰したことになります。フローの販売額は受注残高とは少しラグがあり、ピークは今年2009年5月の2431億円から直近の8月は1294億円までほぼ半減近くになりました。グラフから明らかですが、赤い折れ線の受注が減少している中で、手持ち月数が上昇しています。この背景は、グラフには現れませんが、販売が低迷していることであり、ともに減少しつつある分子の受注残高と分母の販売額の割り算の結果として、分母の販売額の減少の方がより大きいことから、手持ち月数が上昇しているわけです。従って、最近の手持ち月数の上昇は決して好ましいことではないと受け止めるべきです。

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