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2009年10月 1日 (木)

日銀短観は大幅改善も設備投資計画は低調

本日、日銀から9月調査の短観が発表されました。ヘッドラインの大企業製造業の業況判断 DI はほぼ市場の事前コンセンサス通り▲33と15ポイント改善しました。まず、いつもの日経新聞のサイトから関連する記事を引用すると以下の通りです。

日銀が1日発表した9月の企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業製造業でマイナス33となり、6月の前回調査(マイナス48)から15ポイント改善した。改善は6月に続き2期連続。新興国など海外経済の回復を背景に輸出や生産の持ち直しが鮮明になっており、3カ月先の見通しでは一段の改善を見込む。ただ雇用や設備の過剰感は解消されておらず、2009年度の設備投資計画は過去最大となる前年度比25%減に下方修正された。
業況判断DIは、景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いた値。大企業製造業のDIは過去最悪だった今年3月(マイナス58)を底に改善が続くが、依然マイナスの域を脱していない。
業種別でみると、製造業15業種のうち金属製品と造船・重機を除く13業種でDIが前回から改善した。輸出環境の好転と、エコカー減税など麻生太郎前政権下での経済対策の効果もあって、自動車はマイナス79からマイナス49に大幅改善。電気機械も19ポイント上向きマイナス33となった。

続いて、業況判断DIのグラフは以下の通りです。上のパネルは製造業、下のパネルは非製造業の、それぞれ、赤の折れ線が大企業、青が中堅企業、緑が中小企業です。今夜のエントリーのすべてのグラフに共通するんですが、影を付けた部分は景気後退期で今年1-3月期を暫定的に景気の谷としています。

日銀短観業況判断DIの推移

景況感は非製造業の中小企業を除いてすべての規模・業種で改善を見せています。最近の外需にやや依存する景気回復の特徴として、非製造業より製造業の回復テンポが速く、グラフの傾きがスティープになっていることが読み取れます。水準としては大企業、中堅企業、中小企業に順になっているのはいつもの通りです。詳しく見ると、私の直感として、非製造業が予想よりも大きな回復を見せた気がします。

日銀短観設備雇用判断DIと設備投資計画の推移

次に、要素需要に関するグラフを3枚書きました。上のパネルから順に、製造業の設備判断DI、全産業の雇用判断DI、そして、大企業全産業の最近3年間の設備投資計画の改定状況です。広く報道されているように、2桁マイナスの設備投資計画は過去最低らしいです。自分でチェックしたわけではありません。しかし、私は強調したいのは設備投資の方は過剰感も強く、過去最低の計画になっている一方で、雇用の方はかなりの程度に過剰感が薄らいで来ていることです。例えば、大企業製造業の設備過剰感のピークは今年3月調査の39でしたが、9月でもまだ34の過剰感が残り、先行きも28までしか減じません。しかし、雇用の方は大企業全産業ですが、同じく過剰感のピークは今年3月調査の35であったものが、この9月調査では18まで半減し、先行きは12まで下がる見通しになっています。同じ要素需要でも設備と雇用についてはかなり非対称に見受けられます。これは設備と雇用の代替性と補完性から生じていると私は考えていますが、この関係については日を改めて取り上げたいと予定しています。

為替レートの推移

最後に短観について指摘しておきたいのは、日経の解説記事でも取り上げられていましたが、為替レートです。上のグラフは今年に入ってからの東京市場での対ドル円レート中心相場の日々の動きですが、現状で1ドル100円を切って90円前後で推移しているいることは誰でも知っています。しかし、大企業製造業の想定レートは年度下期で94.08円、年度を通してでは94.5円となっており、6月調査の94.85円から35銭切り上がっているに過ぎません。最近でも政権交代の後に円高が進みましたし、財務大臣発言が「円高容認」と受け止められて90円を割る水準まで円高が進んだ局面もありました。内閣府が発表している最新の計量モデル分析結果である「短期日本経済マクロ計量モデル(2008年版)の構造と乗数分析」に従えば、10%の円安が1年目+0.26%、2年目+0.54%、3年目+0.55%の実質GDPに対する乗数を持っています。円高の場合に対称なのかどうかは知りませんが、円高がそれ相応の経済的インパクトを有することは常識です。短観から読み取れる企業の円高対応の遅れに比べて、新政権の為替レート観はやや乖離があるように私は感じています。

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