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2009年10月21日 (水)

援助は成長に寄与しないのか?

昨年末から今年にかけて、「援助は成長に寄与しない」もしくは、少なくとも「援助は効率的ではない」といった開発援助に疑問を呈するような趣旨の論文がいくつか権威あるジャーナルに公表されていて、開発経済学にも興味のある私は少し気になっています。大学の経済学部あたりの図書館以外では手に入りにくいかもしれませんが、私が読んだ範囲で以下の2点を例として上げておきます。

上の Rajan and Subramanian (2008) ではかなり統計的な処理を施した上で、援助と成長の間には少なくとも頑健な結果は観察されなかったと結論し、下の Doucouliagos and Paldam (2009) では2004年末までに刊行された97本の開発援助の効率性に関する論文をサーベイした上でメタ分析を実行し、援助は効率的ではないと結論しています。大きな理由は資金流入によるオランダ病と示唆しています。また、下のグラフは Rajan and Subramanian (2008) の p.647 から Figure 1. - Conditional Correlation between Growth and Total Aid, 1960-2000 を引用しているんですが、1960-2000年で援助と成長率は統計的に有意な負の相関関係を示しています。かなりショッキングと言えます。

Figure 1. - Conditional Correlation between Growth and Total Aid, 1960-2000

もちろん、援助の目的は経済成長だけではありませんが、エコノミストならずとも貧困削減とともにもっとも受け入れられやすい指標であることも確かです。よく知られている通り、今世紀を迎えるに際して、国連がミレニアム開発目標 (MDGs) を設定し、開発援助の強化もなされ始めている矢先、さらに効率的で経済発展に寄与する援助が求められていることは言うまでもありません。

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