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2009年11月17日 (火)

年末ボーナスはどうなるか?

この10月末から11月初めにかけて、いくつかのシンクタンクや金融機関などから年末のボーナス予想が発表されています。まず、この今夏の1人当たりボーナス支給額について、GDP統計や日銀短観などでチェックしているシンクタンクなどのリポートから下の表を取りまとめました。証券会社などの金融機関では顧客向けに出しているニューズレターでクローズに公表する形式の機関もありますし、私もメールなんかに添付してもらっているリポートや ID とパスワードの必要なサイトもあったりするんですが、いつもの通り、ネットに pdf ファイルなどでオープンに公表している機関に限って取り上げています。なお、公務員とあるのは、みずほ総研と第一生命経済研については国家公務員と地方公務員の平均なんですが、日本総研と三菱UFJリサーチ&コンサルティングのリポートには平均がなく、地方公務員の計数を取ってあります。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しました。なお、詳細な情報にご興味ある方は左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ pdf 形式のリポートがダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールされてあって、別画面が開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名民間
(伸び率)
公務員
(伸び率)
ヘッドライン
日本総研38.0万円
(▲10.4%)
61.0万円
(▲6.0%)
背景には、企業収益の悪化傾向の広がり
みずほ総研38.5万円
(▲9.3%)
77.4万円
(▲7.4%)
今冬ボーナス支給額は過去最大の落ち込み
第一生命経済研38.6万円
(▲9.1%)
63.2万円
(▲6.6%)
冬季賞与も同様に大幅な減少が続く可能性が高い
三菱UFJリサーチ&コンサルティング38.8万円
(▲8.6%)
61.1万円
(▲6.7%)
建設業などは増加したが、製造業など全14業種中11業種で減少
三菱UFJ證券38.9万円
(▲8.3%)
n.a.大幅な減少が続くが、09年夏に比べ減少幅は縮小

ボーナスを見る際にいつもながら、まず、一見して明らかなのは官民格差です。ひとつの原因は支給割合の違いです。公務員にはほぼ全員にボーナスが支給されるのに対して、民間企業の場合は今冬はかなり下がって85%を下回るんではないかと予想されています。夏のボーナスはこれよりさらに低くて8割ほどです。でも、0.8で割り戻しても断然公務員の方が支給額が多いのは一目瞭然です。さらに、表には明示されていませんが、まだまだ、製造業と非製造業の格差もあります。下落率は製造業の方が大きいんですが、支給額としては製造業が軽く40万円を超えるのに対して、非製造業は40万円には達しません。もちろん、年末ボーナスが渋い背景は企業業績が景気後退で大きく悪化しているからです。このため、労働分配率が急上昇しており、加えて、デフレのため製品単価が下落して売上げが伸びにくくなっていることも上げられます。

所得が伸びなければ、消費に影響が出るのは当然です。エコカーやグリーン家電に対する効果も徐々に減少し始めており、年末商戦や年明けの消費が停滞に向かう可能性が高いと受け止めるべきです。

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