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2009年12月30日 (水)

遠藤武文『プリズン・トリック』(講談社) を読む

遠藤武文『プリズン・トリック』(講談社)遠藤武文『プリズン・トリック』(講談社)を読みました。今年の江戸川乱歩賞を授賞された作品です。すなわち、ミステリです。しかし、私には構成がやや荒っぽいと感じました。なお、知ってる人は知ってると思いますが、講談社のサイトに pdf ファイルで5ページの「真犯人からの手紙」がアップされています。小説の最後の行に対応するものです。よく知られた通り、江戸川乱歩賞に応募した時、作者はこの作品のタイトルを「三十九条の過失」としていました。法律はいっぱいあり、39条まである法律も数え切れませんが、私が知っているのは憲法第39条の「一時不再理」です。ハッキリ言って、他は知りません。そして、物語は市川交通刑務所から始まります。当然、交通事犯で裁かれた人物が実は交通事故を装った殺人を犯していて、交通事故で判決を受けたために「一時不再理」が適用される、という弁護士を主人公にした法廷ミステリを私は想像していました。まあ、ミステリで弁護士が主人公になっているのはいっぱいあります。しかし、最初は嫌になるくらい延々と交通刑務所が描かれます。
以下、ネタバレがあります。
結局、アチコチで指摘されているように、いっぱい瑕疵のある作品ですが、私が不満に思うのは以下の2点に尽きます。第1、村上諒子は安曇野トマトファームの社員だったのか、村上や戸田と同じ会社の社員だったのか。第2、SDカードの動画を見て、武田にもすぐに分かったにもかかわらず、どうして村上が戸田に気づかなかったのか。後は、よく言われているように、視点主人公が多過ぎて、誰の視点から書いているのか分からない、笠原と小笠原、野口と野田など、同じような名前の登場人物がいて書き分けられていない、などの欠点もあります。

私は、江戸川乱歩賞受賞作品は東野圭吾さんの『放課後』しか読んでいないと思うんですが、ややレベルが低いなと感じたことも事実です。その東野圭吾さんも加わった江戸川乱歩賞の選考委員には悪いですが、せいぜい2ツ星ではないでしょうか。

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