日本経済の見通しやいかに?
今夜の本題に入る前に、経済協力開発機構(OECD)のホームページを見ていると、南米のチリがメキシコに次いでラテンアメリカ2番目にして、OECD31番目の加盟国に招聘されたというニュースを知りました。上の写真はグリアOECD事務局長から招聘状を受け取るチリのベラスコ蔵相です。どうでもいいことですが、私がサンティアゴの在チリ大使館に勤務していた20年近く前、現在のベラスコ蔵相はエイルウィン政権下の財務省で予算局長をしていて、私も何回かお会いした記憶があります。俳優のジョン・トラボルタばりのラテンの雰囲気を漂わせたマッチョの美男子だったと覚えています。米国のことを "Yankee" と表現していたんですが、その後、ニューヨーク市立大学の教授になったと挨拶状をもらいました。
さて、本題に入って、来年の日本経済の見通しです。今年は政権交代があったので、私が公務員をしていたころの予算編成と方式が異なり、予算の財務省原案をすっ飛ばすようですから、政府経済見通しがどうなるのか不明ですが、取りあえず、私が取りまとめた範囲で、国際機関やシンクタンクなどの経済成長率見通しは以下の通りです。なお、アスタリスクを付した国際機関の見通しはカレンダーと同じ1-12月の暦年ですが、日本国内のシンクタンクなどは4月に始まる財政年度で算出されています。いつもの通り、ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しました。詳細な情報にご興味ある方は左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ pdf 形式のリポートがダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別画面が開いてリポートが読めるかもしれません。
機関名 | 2009 | 2010 | 2011 | ヘッドライン |
経済開発協力機構* (OECD) | ▲5.3 | +1.8 | +2.0 | The Bank of Japan should fight deflation |
国際通貨基金* (IMF) | ▲5.4 | +1.7 | n.a. | In Japan, after a sharp first-quarter fall, activity is expected to contract by 5.4 percent in 2009 as a whole, although a sizable fiscal stimulus and a modest increase in exports will support growth in the second half of 2009 and will lead to a recovery of 1.7 percent in 2010. |
日本総研 | ▲2.8 | ▲0.1 | n.a. | 2010年前半に再びマイナス成長へ |
ニッセイ基礎研 | ▲2.9 | +1.4 | +2.0 | 海外経済の回復を背景とした輸出の下支えが続くため、景気腰折れは回避される |
大和総研 | ▲2.8 | +1.7 | n.a. | 鳩山政権が12 月8 日に閣議決定した「緊急経済対策(財政支出7.2 兆円)」の効果等もあり、「景気二番底」は回避される見通し |
みずほ総研 | ▲2.8 | +1.0 | n.a. | 輸出が増加基調を維持し、それが国内生産を下支えして「二番底」は回避される |
三菱総研 | ▲2.7 | +1.2 | n.a. | 既往の政策効果の漸減を背景に、10年度前半にかけて成長率は低めの伸びに止まる |
野村證券金融経済研究所 | ▲2.6 | +1.1 | +1.9 | 日本経済は本格回復に向けた調整期間へ |
第一生命経済研 | ▲2.6 | +1.4 | +1.1 | 先行き、再び景気が後退局面に舞い戻る可能性は低い |
三菱UFJ証券景気循環研究所 | ▲2.8 | +1.6 | +1.1 | 海外経済の拡大、政策効果の継続で、景気回復は、10年末まで続く |
三菱UFJリサーチ&コンサルティング | ▲2.6 | +1.3 | +0.9 | 懸念は高まるも二番底は回避される |
新光総研 | ▲2.5 | +1.4 | n.a. | 10年前半にかけて一旦減速感が強まり、踊り場的な局面を迎える |
富士通総研 | ▲2.6 | +1.4 | n.a. | 新たな経済対策の効果(実質GDP押し上げ効果は0.3ポイント程度)もあり、景気は腰折れするには至らない |
帝国データバンク | ▲2.9 | +1.0 | +1.7 | 2010年度、国内民需と外需がプラスに転じ3年ぶりのプラス成長となるものの、勢いは弱い |
国際機関を除いても、来年度のマイナス成長を予測するのは日本総研だけで、ほぼ+1.0%か、これを上回る成長率を予測する向きが多いとの結果になっています。また、いわゆる2番底は回避されるとの見通しも決して少なくありません。また、もっとも低い見通しを出している日本総研については、11月の1次QE後の時点ですから、その後、少し上方修正されている可能性もあります。私も最近まで2番底の懸念を持っていたんですが、輸出の統計を見る限り、可能性はかなり低下したように受け止めています。
最後に、すべてのリポートを隅々まで熟読したわけではありませんが、帝国データバンクだけが2010年のワールドカップと2011年の地デジ移行による耐久消費財の売上げ増加に言及していました。さすがに、目の付けどころが違うと感心してしまいました。
| 固定リンク
コメント