定額給付金の経済効果はどれくらいあったのか?
私がセンター試験で気もそぞろだった虚を突いて、というわけでもないんでしょうが、内閣府から先週金曜日1月15日に「定額給付金に関連した消費等に関する調査」の結果についてと題するリポートが発表されていました。もちろん、pdf ファイルの全文リポートも公表されています。
で、最終的にどれくらいの経済効果があったのかというと、実はリポートには明記してありません。明記してあるのは定額給付金受取額に対する限界的な支出増加割合だけであり、「定額給付金がなければ購入しなかったとするもの」の支出金額は定額給付金受取総額に対して29.0%、「うち定額給付金によって増加した支出額」の定額給付金受取総額に対する割合は3.8%ですから、回りくどい計算ですが、定額給付金受取額に対して合わせて32.8%の支出増加効果があったことになります。定額給付金の支給総額が1兆9570億円ですから、約6400億円の消費増と計算され、2008年度の名目GDPが494兆1987億円に対して0.13%の比率を占めます。デフレータが同じと仮定するのは無理のないところですから、実質成長率を0.13%ポイント高めたことになります。
評価の難しい数字だと私は受け止めています。どのメディアのサイトで見かけたのかは忘れましたが、当初、内閣府が弾き出していた経済効果が0.15%だったことから、内閣府の政務官は「経済効果は限定的だった」といった旨の発表をしていました。政権交代がなければ、「当初の目論見通り」と強気に発表していた可能性もあります。繰返しになりますが、この経済効果の大きさは評価の難しいところだろうという気がします。なお、誠についでながら、私が昨年2009年4月21日付けのエントリーで明らかにした長崎県内の定額給付金の経済効果は0.17%でしたから、少し過大評価したと見なされそうですが、言い訳をしておくと、全国の0.13%は2008年度の名目GDPを分母にしているのに対して、私の長崎県内の0.17%は統計のアベイラビリティの関係で2006年度を分母にしていますので、どうしてもこの2年のズレで大きくなってしまっています。
私が注目したのは、pdf ファイルの全文リポートのp.12図表13から引用した上のグラフです。水色が子供のいない世帯、オレンジが18歳以下の子供のいる世帯で、確実にどの所得階層でも子供のいる世帯の方が消費増加効果が大きくなっています。こども手当に対する強力な実証的根拠であると考えられます。
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