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2010年1月12日 (火)

国際収支と銀行貸出しと景気ウォッチャー調査

本日、財務省から11月の経常収支をはじめとする国際収支統計が、また、日銀から12月の銀行貸出などの貸出・資金吸収動向を含むマネーストック統計が、さらに、内閣府から12月の景気ウォッチャー調査の結果が、それぞれ発表されました。まず、経常収支と銀行貸出しについて日経新聞のサイトから関連する記事を引用すると以下の通りです。

経常収支
財務省が12日発表した2009年11月の国際収支速報によると、モノやサービス、投資など海外との総合的な取引状況を示す経常収支は1兆1030億円の黒字になり、前年同月比76.9%増の大幅増になった。アジア向け輸出が持ち直したことなどが影響した。投資による収益を示す所得収支は企業の海外子会社の業績悪化などから、5カ月連続で前年同月を下回った。
貿易・サービス収支は4395億円の黒字で、前年の赤字から黒字に転じた。金融危機の影響で経常収支は急激に縮小したが、世界経済の持ち直しに合わせて増加傾向が続いている。輸出額から輸入額を引いた貿易収支は4906億円の黒字。輸出入とも前年同月を下回ったが、輸入の減少幅の方が大きく、差し引きで黒字になった。
貿易動向を通関統計ベースでみると、輸出額は米欧向けが前年を下回ったが、アジア向けが増えたことで、全体では7.0%減の4兆7044億円と、小幅なマイナスにとどまった。中国向けのプラスチック原材料や自動車部品が伸びた。輸入額は18.2%減の4兆2138億円だった。
銀行貸出し
日銀が12日発表した2009年12月の「貸出・資金吸収動向」によると、全国銀行の貸出残高(月中平均)は前年同月比1.2%減の402兆2097億円で、06年1月以来の減少に転じた。金融危機の影響で企業の貸し出し依存が強まった前年の反動が出たうえ、運転資金や設備投資などの資金需要が弱めに推移していることが響いた。
内訳をみると、都銀が3.1%減の208兆4016億円で、2カ月連続で減った。前年同月は社債やコマーシャルペーパー(CP)などによる資金調達が難しくなった大企業などから融資要請が相次ぎ、貸出残高が大幅に伸びていた。地方銀行と第二地方銀行の合計は0.9%増の193兆8081億円で、57カ月連続で増えた。
12月末のCP引受残高は15.7%減の11兆4040億円で、15カ月連続で前年同月を下回った。市場自体は回復してきているが、企業の資金需要が引き続き弱いうえ、既に手元資金を厚めに確保していることもあり、需要が伸びなかった。

まず、経常収支は順調に回復過程にあります。内外の景気回復テンポの差が表れています。下のグラフは経常収支とそのコンポーネント収支を寄与度の形で表しています。いずれも季節調整済みの系列で、青い折れ線が経常収支、積上げ棒グラフは経常収支の構成項目です。簡単に済ませておきます。

経常収支の推移

次に、銀行貸出しはとうとう前年同月比でマイナスを記録しました。引用した記事にもある通り、全国銀行ベースで▲1.2%減、信金を加えても▲1.0%減です。特に、都銀が▲3.1%減と下げ幅を加速させています。下のグラフは銀行貸出しの前年同月比なんですが、上のパネルは銀行と信金の合計の貸出し平均残高、下は全国銀行の末残ですから、微妙にベースは異なりますが、大雑把に、上のパネルの寄与度を下のパネルが表していると考えて違和感ありません。なお、下のグラフの直近月は11月です。

銀行貸出の推移

この銀行貸出しの減少は、基本的には内需の伸びの鈍化による資金需要の減退だと私は考えています。信金が貸出しを増加させ、都銀が減少させている点からも、また、中小企業の資金繰り判断などを商工中金などの発表資料で見る限りにおいても、中小企業や地場産業などの資金繰りが大きく悪化しているとは考えられません。しかしながら、2点だけ注意しておきたいと思います。第1に、12月4日から施行されている「中小企業金融円滑化法」の影響です。いうまでもなく、この法律は中小企業や住宅ローンの借り手の申込みに対して金融機関が貸付条件を変更するよう促すもので、貸し手によっては厳格審査に走った金融機関もある可能性を排除できません。第2に、統計的なテクニカルな点も含めて、日銀の当座預金残高が今年に入ってから急激に減少していることです。昨年末時点では20兆円を超えていた当預残高が先週末には15兆円を下回っています。単に、年末年始の通例通りのオペの結果で、私が知らないだけかもしれませんが、やや気にかかる点ではあります。

景気ウォッチャー調査の推移

最後に、景気ウォッチャー調査の結果は上のグラフの通りです。9月のシルバーウィークの反動や年末賞与の減少予想などから10-11月は下げていたんですが、実際にボーナスが支給された12月は3か月振りにチョッピリ上昇しました。これだけのデフレですから、マインドのさらなる向上は難しそうな気がします。

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