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2010年2月10日 (水)

ほぼ底打ちを確認した機械受注統計と輸入物価の上昇にけん引される企業物価

本日、内閣府から昨年12月の機械受注統計が、また、日銀から今年1月の企業物価が、それぞれ発表されました。機械受注統計のうち、設備投資の先行指標となるコア機械受注は季節調整済みの前月比で+20.1%増、企業物価も輸入価格の上昇にけん引されて、前年同月比で国内物価が▲2.1%の下落とマイナスながら着実にプラスに近づきつつあります。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

10-12月機械受注、7期ぶり増加 1-3月見通しもプラス
内閣府が10日発表した2009年10-12月期の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標になる「船舶・電力を除く民需」(季節調整値)は前期比0.5%増となり、7四半期ぶりのプラスに転じた。鉄鋼業の受注などが増え、12月が前月比20.1%増と大きく伸びたのが要因。内閣府は10年1-3月期も2.0%増と2四半期連続で増加するとの見通しを示した。落ち込みが続いていた企業の投資活動に底入れ感が出てきた。
機械受注統計は工場の生産設備など機械類の受注額をメーカーなどから集約し作成する。数カ月から半年ほど先の民間設備投資の動向を示す。
津村啓介政務官は会見で「設備投資は09年末に底を打った可能性がある」と指摘、来週発表の国内総生産(GDP)の動向を注目したいと述べた。ただ、製造業に比べ非製造業の回復が遅れており、基調判断は「下げ止まりつつあるものの、一部に弱い動きがある」との表現を据え置いた。
1月の企業物価、前年比2.1%低下 下げ幅は縮小
日銀が10日発表した1月の国内企業物価指数(2005年平均=100、速報値)は102.4となり、前年に比べて2.1%低下した。13カ月連続で低下したが、下落幅は5カ月連続で縮小した。新興国の経済成長で石油や金属などの原材料の価格が上昇しつつある一方、国内需要は低迷しており、物価の低下圧力はなお強い。
企業物価は出荷や卸売り段階で企業同士がやりとりするモノの価格水準を示す。前月比では0.3%上昇した。調査対象の855品目のうち、前年同月比で上昇したのは192と前月よりも7つ増加するなど、物価下落の拡大には歯止めがかかりつつある。
品目別に見ると、石油・石炭製品が前年同月比で24.2%上昇。非鉄金属が同22.9%上昇した。中国など新興国の好況を受け、世界的に資源価格が上昇したことが影響している。化学製品は同0.8%上昇。エチレンなど川上の分野に加え、「合成ゴムなど川下分野の製品の一部にも原料価格の上昇を転嫁する動きが広がっている」(日銀)という。

次に、いつものコア機械受注の推移のグラフは以下の通りです。青い折れ線が季節調整済みの毎月の実額、赤が後方6か月移動平均です。いずれも左軸の単位は兆円です。影をつけた部分は景気後退期なんですが、直近の景気の谷は昨年3月と仮置きしています。

コア機械受注の推移

コア機械受注はちょとビックリの+20.1%増でした。市場の事前コンセンサスが+8%台半ばでしたので、はるかに上回りました。業種別でも製造業が前月比+17.1%増、非製造業が+22.9%増と、製造業・非製造業ともに受注が大幅に増加しています。コア機械受注には含まれませんが、外需も大きく伸びています。もちろん、グラフを見ても容易に分かる通り振れの大きい統計ですから、1月統計ではそれなりの反動減を覚悟しなければなりませんが、季節調整済みの四半期の計数で見ても、引用した記事にもある通り、昨年2009年10-12月期が前期比+0.5%増と7四半期振りのプラスに転じた一方で、今年2010年1-3月期は内閣府の集計によれば+2.0%増と、機械受注は底打ちして反転した可能性が高いと私は受け止めています。ただし、まだその勢いはそれほどでもありませんから、今年いっぱいくらいはGDPベースの設備投資の伸びはかなり緩やかと考えるべきです。

船舶受注残高と手持ち月数の推移

また、長崎ローカルで注目されている船舶の受注残高と手持ち月数は上のグラフの通りです。赤い折れ線が受注残高で右軸の単位は兆円、青が手持ち月数で左軸の単位は月です。誠に残念ながら、いまだ底打ちや反転の兆しは見られません。おそらく、長崎経済は日本の中でもめずらしく2008年8月をピークとする資源高により潤った地域経済圏であると私は考えています。原油高に伴うタンカー受注などに起因します。ですから、もしも、資源高や原油高が始まった2003年以前の受注残高2-3兆円、手持ち月数20-30か月の水準まで落ちると仮定すれば、調整に3-4年程度の期間を要する可能性があります。上のグラフでいえば、右下がりの状態がさらに3-4年続くということになります。もともと工期の長い造船業ですから、他の製造業における2008年末から2009年初にかけてのような急激な調整は経験せずに済む可能性もありますが、他方、日本の造船業は韓国などに比較して競争力が高いとは決して言えず、悪い言い方をすれば国際的には限界なポジションに近いですから、受注残高がさらに低下する可能性もあります。長期的な長崎経済の大きな課題は人口減少と経済停滞のスパイラルだと私は考えていますが、短期的な目先の話として造船業におけるこの調整が長期的な低迷に拍車をかける可能性も否定できません。

企業物価の推移

最後に、企業物価は上のグラフの通りです。いずれも季節調整をしていない原系列の物価指数の前年同月比で、赤い折れ線が国内物価、緑が輸出物価、水色が輸入物価です。順調に上昇を続けているように見えます。しかし、国内物価はマイナスのままですし、明らかに国内物価のマイナス幅の縮小は資源価格などの輸入物価の上昇にけん引されていることを見逃すべきではありません。

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