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2010年3月 6日 (土)

米国雇用統計のグラフィックス

昨日、米国労働省から2月の米国雇用統計が発表されました。ヘッドラインとなっている非農業部門雇用者数は季節調整済みの系列で見て、前月から▲36千人の減少となりましたが、失業率は同じく季節調整済みの系列で前月と同じ9.7%でした。市場の事前コンセンサスは雇用者数が6万人を上回る減少で、失業率は9.8%に上昇すると見ていましたので、これよりはいい数字でしたが、引き続き米国においても雇用の回復ペースは緩慢と受け止めるべきです。また、今回の雇用統計の話題として、米国東部や中西部をはじめとする2月の厳しい天候の影響があり、米国労働省の発表文書でも、特に、Effect of Severe Winter Storms on Employment Estimates と題するコラムを設けていて、"Major winter storms affected parts of the country during the February reference periods for the establishment and household surveys." であることは確かなんでしょうが、"While some persons may have been off payrolls during the survey reference period, some industries, such as those dealing with cleanup and repair activities, may have added workers." との結論で、要するに、当然ながら「天候の影響はあるんだろうが、よく分からない」ということのようです。まず、New York Times のサイトから記事を最初の3パラだけ引用すると以下の通りです。

Jobless Rate Holds Steady, Raising Hopes of Recovery
The American economy lost fewer jobs than expected last month and the unemployment rate remained steady at 9.7 percent, the Labor Department reported Friday, bolstering hopes that a still-tenuous recovery may be gaining momentum.
The government's monthly snapshot of the job market found that another 36,000 jobs disappeared in February - hardly cause for a celebration.
Yet compared to the monthly losses of more than 650,000 jobs a year ago, and against a backdrop of recent news that increased the possibility of a slide back into recession, most economists construed the report as an improvement.

すなわち、いずこも同じで、雇用なき景気回復が景気回復そのものを阻害するおそれがあるということのようです。ということで、いつものグラフは以下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者の前月差増減、下は失業率です。いずれも季節調整済みの系列です。影をつけてある期間は景気後退期なんですが、米国における直近の景気の谷は昨年2009年6月と仮置きしています。

米国雇用統計の推移

米国労働省の統計では2月の非農業部門雇用者の減少幅は1月より大きいんですが、民間の給与計算アウトソーシング会社である ADP (Automatic Data Processing) の統計では、2月は1月より減少幅が小さくなって改善を続けていることになっています。下のグラフの通りです。私を含めて、米国労働省より ADP の統計の方が実感に合うというエコノミストも何人かいます。

米国雇用統計の比較

最後に、いつもの通り、上で記事を引用したのと同じ New York Times のサイトにあるフラッシュに直リンしておきます。

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