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2010年3月10日 (水)

機械受注統計は底入れを確認

本日、内閣府から1月の機械受注統計が発表されました。季節調整済みコア機械受注の前月比で▲3.7%減の7238億円となり、市場の事前コンセンサスであった▲3.5%減にほぼミートしました。底入れが確認されたと私は受け止めています。ですから、以下の引用記事にもある通り、内閣府の基調判断も「下げ止まりつつある」に上方修正されています。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月の機械受注、前月比3.7%減 基調判断は上方修正
内閣府が10日発表した1月の機械受注統計によると、民間企業設備投資の先行指標となる「船舶・電力を除く民需」(季節調整値)は前月比3.7%減となり、2カ月ぶりにマイナスとなった。ただ落ち込みが小幅にとどまったことや、変動の大きい携帯電話の影響を除けば2.2%増になることから、基調判断を「下げ止まりつつある」に上方修正した。企業の投資行動は最悪期を脱しつつある。
機械受注は工場の生産設備などの受注額をメーカーなどから聞いて作成する。数カ月から半年ほど先の民間設備投資の動向を示す。民間調査機関の予測中央値(QUICK調べ)は前月比3.5%減とほぼ同じだった。

次に、いつものグラフは以下の通りです。一番上のパネルは船舶と電力を除いたコア機械受注とその6か月後方移動平均の推移、真ん中のパネルは需要者別の推移、一番下は長崎ローカルで注目されている船舶の受注残高とそれを販売額で除した手持ち月数です。なお、真ん中のパネルの製造業と非製造業からは船舶・電力は除かれています。いずれも季節調整済みの系列です。影をつけた部分は景気後退期なんですが、直近の谷は昨年2009年3月と仮置きしています。

コア機械受注の推移

繰返しになりますが、コア機械受注については底入れが確認されたと私は受け止めています。ただし、今後の動向にもよりますが、GDPベースの設備投資は今年いっぱいくらい緩やかな伸びとなることは覚悟すべきです。注目すべきは上のグラフの真ん中のパネルで、船舶と電力を除くベースで見て、製造業はかなり早くから底入れしているんですが、非製造業は一進一退が続いています。鉱工業生産指数にも見られる製造業ほどには非製造業が回復していないひとつの証拠といえます。コア機械受注からは外れますが、1月は全体と同じで少し減少したものの、外需も順調に回復しています。要するに、内需に基盤を置くセクターの回復が遅れているわけです。なお、一番下のパネルで示した通り、長崎ローカルで注目されている船舶については逆の動きで、確実に受注残高が減少しています。先月、2月10日付けのエントリーでも主張したように、資源高や原油高が始まった2003年以前の受注残高2-3兆円、手持ち月数20-30か月の水準まで落ちると仮定すれば、調整に3-4年程度の期間を要する可能性があると考えられます。

企業物価の推移

最後に、日銀から発表された2月の企業物価の推移は上のグラフの通りです。前年までの反動による輸入物価の大幅下落局面を終えても、まだ国内物価は14か月連続で前年比マイナスを続けるデフレに陥ったままです。

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