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2010年8月19日 (木)

失業に関する考察

従来からこのブログで主張している通り、経済政策のターゲットとして最も重視すべきは雇用だと私は考えています。働く意思と能力ある国民すべてに decent な雇用が確保されれば、成長率やインフレ率や、ましてや、貿易収支な財政収支などは少々目をつぶってもいいとさえ考えています。しかし、2008年後半の Great Recession から再び急速に失業が増加しています。今夜のブログでは簡単に我が国の失業の現状について考えたいと思います。
まず、下のグラフは1973年以降の完全失業者数の推移です。グラフから明らかな通り、1990年代初めのバブル経済崩壊からグングンと失業者数が増加しているのが見て取れます。今世紀に入って、長かった第14循環の景気拡大期に失業者数はかなり減少しましたが、昨年2009年には再び大幅に増加し、2010年6月統計ではほぼ350万人に上っています。

完全失業者数の推移

統計的にはそれほぼ明らかではないんですが、私がやや心配しているのは失業が長期化しているかもしれないということです。以下の表は、最近3年間の失業期間ですが、ここ3年で大きな変化はありません。失業者のうち約 1/3 が3か月以内となっています。これは失業者の 1/3 が3か月以内に職が見つかるということと同値ではありませんが、早い段階で就職に成功する失業者が相変わらず一定数いることは確かです。そして、失業期間3か月というのが経験則による一定の目安で、これを過ぎると先の長い話になりかねません。3か月を過ぎても1年以内に就職する失業者は半分強います。しかし、1年を過ぎてしまうと、2年以内に就職する失業者はむしろ少なく、2年以上時間を要する失業者が過半となります。要するに、昨年だけに限らず従来からそうなんですが、失業期間が1年を過ぎると、そのまま2年を超えることになる可能性が高いわけです。欧州のような失業給付体系と異なり、我が国の場合は短期で失業を脱却する前提の体系になっていますので、失業が長期に及ぶのは生活にも大きな影響を及ぼしかねません。

失業期間2007年2008年2009年
総数257265336
3か月未満9496117
3か月以上160166214
3-6か月未満384259
6か月-1年未満393760
1年以上838795
1-2年未満343643
2年以上495152

最後に、下のグラフは2009年における要因別失業者数の割合です。マイクロな経済学的に必ずしも正確ではないんですが、ある意味でミスマッチの要因比較ともいえます。水色の賃金・給料から始まって、時計回りに、勤務時間・休日、年齢、技能、仕事内容、その他、最後に、条件ナシにもかかわらず就職できない失業者の割合を円グラフで表示しています。これも従来から主張している通り、失業のかなりの部分はマクロ経済の需要不足に起因すると私は考えていますが、もちろん、そういった要因は政府統計では考慮されていませんし、ハローワークを通じた就職が多いためか、地域的なミスマッチは要因として上げられてすらいません。

要因別完全失業者数 (2009年)

直観的な私の理解なんですが、「仕事内容」の割合が高いのは、やっぱり、譲れない一線があるのかもしれませんし、「年齢」については、中高年齢層の求職と若年層への求人のミスマッチかもしれないと受け止めています。マクロ的に需要を創出するとともに、マイクロなミスマッチに対応する柔軟な雇用政策が必要です。

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