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2010年11月 9日 (火)

順調な経常収支と大幅に落ち込んだ景気ウォッチャー調査

本日、財務省から9月の国際収支が、また、内閣府から10月の景気ウォッチャー調査結果がそれぞれ発表されました。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の鳥です。

9月の経常黒字、2カ月ぶり増加 自動車輸出が堅調
財務省が9日発表した9月の国際収支(速報)によると、経常黒字は前年同月比24.3%増の1兆9598億円と、2カ月ぶりに増加した。中国など向けに乗用車輸出が堅調だったほか、円高で輸入額の伸びが抑えられたことから貿易黒字が増加。海外子会社からの配当金が増えた所得収支も伸びた。
貿易・サービス収支は8571億円の黒字で49.9%増加。うち貿易収支は9269億円の黒字で53.2%増加した。サービス収支は699億円の赤字(前年同月は332億円の赤字)。海外からの特許料の受け取りが減少したことが影響した。所得収支は1兆1810億円の黒字で、9.4%増加した。
財務省は「世界経済回復のプロセスのなかで、少しずつ元の姿に戻りつつある」と分析。一方、輸出の伸び率が足元で縮小していることや、世界的な低金利から慎重な見方も示した。
同時に発表した2010年度上期(4-9月期)の経常黒字は、前年同期比13.9%増の8兆3615億円。リーマン・ショック後の落ち込みの反動で、貿易黒字が大幅に拡大したことが寄与した。
街角景気、3カ月連続悪化 補助金終了や円高懸念で
内閣府が9日発表した10月の景気ウオッチャー調査によると、街角の景気実感を示す現状判断指数は前月比1.0ポイント低下の40.2と3カ月連続で悪化した。エコカー補助金の終了や円高の影響で、指数を構成する家計、企業、雇用すべての指数が低下した。たばこの駆け込み需要の反動減も響いた。
2-3カ月先の先行き判断指数は0.3ポイント低下の41.1と、2カ月ぶりに悪化。エコカー補助金終了や円高などが景気に与える悪影響を懸念する声が強く、企業や雇用関連の指数が低下した。
内閣府は判断を「景気は、これまで緩やかに持ち直してきたが、このところ弱い動きがみられる」に据え置いた。
調査は景気に敏感な小売業関係者など2050人が対象。3カ月前と比べた現状や、2-3カ月先の景気予想を「良い」から「悪い」まで5段階で評価してもらい、指数化する。今回の調査期間は10月25日から月末まで。

いつものグラフについて、最初に経常収支は以下の通りです。上のパネルは経常収支の実額の月次データを折れ線グラフにして表し、その内訳の貿易収支やサービス収支などを棒グラフで示しています。凡例の通りです。下のパネルはG20などで注目されている経常収支のGDP比の四半期データを経常収支の額とともにプロットしています。赤い棒グラフは経常収支の実額を左軸の目盛りで、青い折れ線は経常収支のGDP比を左軸の目盛りで示しています。いずれも季節調整済みの系列です。

経常収支の推移

上下のパネルの2枚のグラフとも、リーマン・ブラザース証券の破たん後の Great Recession から世界経済が立ち直りつつある中で、我が国の貿易収支や経常収支が順調に回復している姿を示していると受け止めています。また、下のパネルを見れば分かりますが、現時点では我が国の経常収支GDP比はG20などで議論された4%には達していませんが、第14循環の最終盤から谷の周辺では4%を超える局面もあったことから、この経常収支のGDP比4%というのはいいセンを突いていることが理解できると思います。

景気ウォッチャー調査の推移

景気ウォッチャー調査の結果は上のグラフの通りです。国民のマインドは一段と下がりました。赤い折れ線グラフが現状判断DIで水色が先行き判断DIです。影を付けた部分は景気後退期を示しています。エコカー補助金の終了や円高の影響などにより、指数を構成する家計・企業・雇用すべての指数が低下しています。

最後に、昨日、財務省から発表された今年7-9月期の「外国為替平衡操作の実施状況」に従えば、7-9月期の為替介入は9月15日に2兆1,249億円の米ドル買い・日本円売り介入が実施されただけでした。このブログでは、9月24日も円ドル相場に不連続な動きがあったことを取り上げましたが、これは当局の為替介入ではなかったようです。

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