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2010年12月13日 (月)

日本は規模で経済大国を目指すべきか?

やや旧聞に属する話題ですが、Allstate / National Journal / The Atlantic の3社の共同調査による Heartland Monitor Poll の結果が先週に少し話題になりました。「最強の経済大国は中国」というものです。私が見かけた範囲では朝日新聞と読売新聞のサイトでニュースがキャリーされていました。以下のリンクの通りです。

この件について、私は主として Allstate のサイトから情報を得たんですが、ニュースソースは以下の通りです。

  1. Heartland Monitor VII: Return to Prosperity
  2. Heartland Monitor Poll Topline
  3. Heartland Monitor VII: Down From The Pedestal

そして、アンケート調査の共同主催のうちの1社である National Journal 2009年12月11日号の p.27 から引用したグラフは以下の通りです。現時点と20年後のそれぞれの最強の経済について、さらに、米国の優れている点と劣っている点についての質問結果です。

Second Best

「最強の経済」に対する回答として、中国、米国、日本の順となっています。こういったアンケートの場合、「経済的な豊かさ」という意味で、1人当たりの指標を比較して人口の多い中国はまだまだ…、といった論調を見かけますが、上の画像に見る通り、質問があくまで "Which one of the following countries or regions do you think has the strongest economy?" ですから、1人当たりではなく1国経済全体で比較するのが当然です。ただし、注意すべきであるのは米国人が回答していることです。「最大」ではなく「最強」との表現ですから、レベルとともにモメンタムの要素もあって、中国がトップというのは十分にあり得ることです。ただし、20年後には米国もかなり盛り返している、というのは米国民の自信の表れかもしれません。
下パネルの「米国の優れた点、劣った点」でも、大学レベルの高等教育や科学力などは米国民は自信を持っているようですし、自分自身の労働力についても "a fairly well-trained workforce" と評価していますが、その次の政府の成長戦略あたりから怪しくなり、"Americans see more clouds" ということになります。最後に、初等中等教育には自信がないようです。

PPP GNI

我が国でも今年2010年にはドル換算のGDPで中国に抜かれて、日本が1国経済のGDP規模で世界第3位に転落することは、このブログでも8月20日付けのエントリーで取り上げた The Economist の記事 Japan as number three: Watching China whizz by をはじめとして、ほぼ全世界的なコンセンサスになっている気がします。しかし、量的・規模的に中国経済の後塵を拝し出したのはずっと前からそうであり、上のグラフに見る通り、購買力平価で換算した1国経済規模ではすでに中国に大きく水を開けられ、インドに迫られているのが実情です。なお、上のグラフは世銀のデータベースに基づき、2009年の購買力平価換算の国際ドルに基づいてプロットしています。横軸の単位は兆ドルです。

特に新しい視点でもありませんが、経済面で量的・規模的には我が国は中国にはかなわないわけですし、そのうちにインドにも抜かれる可能性が高いわけですから、別の面で日本経済の美点を引き出すことが必要です。人口が減少する中で、国民生活の豊かさを増進すること、質の高いストックを維持すること、などもそれぞれ重要な政策目標なのだという気がします。

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