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2011年1月27日 (木)

輸出は回復テンポを取り戻すか?

本日、財務省から昨年12月の貿易統計が発表されました。ヘッドラインとなる輸出は季節調整していない原数値で5兆3851億円と前年同月に比較して+10.6%増となり、貿易収支は前年同月比+34.1%増の7277億円となりました。まず、いつもの日経新聞のサイトから事実関係だけを報じた記事を引用すると以下の通りです。

12月の貿易黒字、前年同月比34.1%増の7277億円
財務省が27日発表した2010年12月の貿易黒字(速報、通関ベース)は、前年同月比34.1%増の7277億円だった。貿易黒字が前年同月を上回るのは2カ月ぶり。
輸出額は13.0%増の6兆1128億円、輸入額は10.6%増の5兆3851億円だった。
同時に発表した2010年の貿易黒字は前年比153.4%増の6兆7702億円と2年連続で前年を上回った。輸出額は24.4%増の67兆4059億円で、3年ぶり増加。輸入額は17.7%増の60兆6357億円だった。

次にいつものグラフは以下の通りです。いずれも輸出入とその差額である貿易収支をプロットしているんですが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。

貿易統計の推移

発表された昨年12月の輸出の増加はかなり大きかったと受け止めています。市場の事前コンセンサスは貿易収支が5000億円くらいだったですから、これを大きく上回りました。地域別にみると、ほとんどすべての地域向けに輸出が伸び、特に自動車の伸びが目立っています。輸出が3か月振りに前年同月比で2ケタの伸びを回復していますが、ほとんどが数量の寄与によるものです。世界経済の一足早い踊り場脱出とともに、我が国の輸出も伸びを高める可能性があります。1月11日付けで取り上げた OECD 先行指標も下げ止まる可能性が示唆されており、我が国輸出の拡大効果が期待できます。下のグラフは輸出の前年同月比の伸び率を価格と数量で喜怒よ分解したのが上のパネルで、下のパネルはOECD先行指標の前年同月比を3カ月ずらしたものと輸出の数量指数の前年同月比を重ねています。

輸出の推移

今回の貿易統計発表で私が注目したのは輸入価格です。いくつかの品目で国際商品市況が高騰しており、製品価格の引上げに踏み切る企業も出始めています。しかし、少なくとも昨年12月までのところ、全般的な輸入価格の上昇は見られないと私は受け止めています。もちろん、個々の輸入品で値上がりしたものは少なくないと思いますが、現状では相対価格の変化に止まっており、我が国の一般物価水準を大きく引き上げたり、あるいは、交易条件を悪化させるような輸入価格の上昇は統計を見る限りでは見当たりません。下のグラフは上のパネルは輸入価格指数、下のパネルは交易条件指数です。

輸入価格と交易条件の推移

最後に、貿易統計と関係あるような、ないような話題で、S&P の発表によれば、日本の財政赤字が今後数年にわたって高止まりし、それに伴い財政の柔軟性がさらに低下するとの予想に基づき、S&P は日本の長期ソブリン格付けを AA から AA- に引き下げました。ただし、アウトルックは「安定的」です。政府はどのように反応するんでしょうか?

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