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2011年3月21日 (月)

家にこもって2000年以降くらいのジャズ・ピアノを聞く

この3連休は特に何もすることがありません。それでも、土日はお天気がよかったので外を出歩きました。私の持っている唯一のパーソナルな移動手段である自転車に乗って、ガソリンスタンドに長蛇の列を作っている自動車を尻目に、行ける範囲で図書館などに出かけました。しかし、今日の雨では出かけることも出来ずに家でブラブラしています。と言うことで、3連休の最初は本を、昨日の第2日目は映画を取り上げましたので、今日は音楽です。私の音楽シーンはジャズを中心に聞いていますが、独身のころはサキソフォンを含めたカルテットか、さらにトランペットなどのホーンを入れたクインテットのコンボが中心でした。オーケストラでジャズをやる時代でもありませんでした。その中でもコルトレーンは特別の位置を占めていました。でも、年齢とともに、体調が悪かったり、気分が落ち込んでいたりした時には、どうもコルトレーンは不向きになってしまい、チリに行ったころ、と言うか、バブルが崩壊したころからピアノ中心になって、さらに、ここ数年はエリック・アレキサンダーやハリー・アレンなどのテナーサックスに回帰する、という複雑な運動を経ています。それはともかく、今日のところは、近くの図書館で借りたのも含めて、この3連休で聞いたジャズ・ピアノ、特に2000年以降くらいの作品について取り上げます。

エディー・ヒギンズ「懐かしのストックホルム」Dear Old Stockholm

まず、極めて old-fashioned で standard なところはエディー・ヒギンズの「懐かしのストックホルム」Dear Old Stockholm です。今日のタイトルは「2000年以降くらい」としたんですが、1960-70年代のジャズそのままで、何とも言えません。このようなスタイルのピアノが好きになって来たと言うことは、要するに、年を取ったんだろうと思います。

スティーブ・キューン「誘惑」Temptation

基本的にエディー・ヒギンズと同じ路線だと思うんですが、スティーブ・キューンの「誘惑」Temptation です。ロマンティックでスタンダードです。ヒギンズと少し違うのは「内省的」とか、「翳りのあるリリシズム」とか表現されることで、「亡き王女のためのパヴァーヌ」Pavane for a Dead Princess は確かにそう言えますが、少なくとも後者について、このアルバムでは明るい演奏が聞けると私は受け止めています。もっとも、エディー・ヒギンズの演奏を「能天気」と考えているわけでは決してありません。

ニューヨーク・トリオ「星へのきざはし」Stairway to the Stars

さらに似通ったラインで、ニューヨーク・トリオ「星へのきざはし」Stairway to the Stars もあります。ピアノはビル・チャーラップです。このアルバムはこのトリオの最大のヒットとなりました。と言うのも、スイングジャーナル誌の読者のリクエストに応えたスタンダード曲を集めていますから当然です。演奏はいい意味で脂ぎっていて、元気よくてギンギンのノリに仕上がっています。気分が軽快になります。

レイチェル Z「愛は面影の中に」First Time Ever I Saw Your Face

かなり毛色の変わったところで、レイチェル Z の「愛は面影の中に」First Time Ever I Saw Your Face もなかなかの1枚に仕上がっています。レイチェル Z と言えば、エレクトリックな演奏で、ジャズとは言っても、スムーズ・ジャズとか、むしろフュージョンに近い印象もなくはないんですが、このアルバムはアコースティックでオーソドックスなジャズです。タイトル曲は言うまでもなくロバータ・フラックの大ヒット曲です。どうでもいいですが、ジャケット写真を見る限り、分野は違えど同じピアニストで、やっぱり私が大好きな小菅優さんと全体の雰囲気が似ているような気がしないでもありません。

チック・コリア「過去・現在・未来 」Past, Present & Futures

私が輸入盤で聞いたものですから、ジャケット写真は上の通りですが、チック・コリアの「過去・現在・未来 」Past, Present & Futures です。未来だけが複数形になっているのがミソだとどこかで読んだ記憶があります。チック・コリアなんて大御所の大ベテランだと思っていたんですが、1曲目からかなり複雑なリズムに乗せて難解な曲を斬新に弾きこなしています。1曲目の Fingerpsints のタイトルは言うまでもなく、ウェイン・ショーターがいたころのマイルス・デイビス・クインテットの Footprints を下敷きにしていると受け止めています。同世代にハービー・ハンコックやキース・ジャレットなどの俊英がいましたが、今ではチック・コリアばかり聞いているような気がします。ピアノソロの「スタンダード」と「オリジナル」も愛聴しています。

小曽根真「パンドラ」Pandora

最後に、日本人を代表して、と言うわけでもないんですが、小曽根真の「パンドラ」Pandora です。最近では、日本人ピアニストと言えば上原ひろみも注目度が高いんですが、やっぱり、私は小曽根や塩谷哲が好きです。このアルバムは全曲が小曽根自身かドラムスのクラレンス・ペンの作曲になるオリジナルです。小曽根と言えば、「ドラえもんの歌」を演奏したこともありますが、スタンダードを弾きこなすプレーヤーと言うよりも、コンポーザーやアレンジャーとしての能力が高いような気がします。大げさに言えば、前世紀初頭のマーラーのような存在なのかもしれません。同時代人はマーラーのことは偉大なる指揮者と受け止めていたようなことを何かで読んだ記憶があります。小曽根も100年後に作曲家として名を残している可能性があります。月並みな表現ですが、ともかくかっこいいです。

この3日間で聞いたジャズ・ピアノ、期せずしてトリオばっかりになりましたが、もちろん、これら以外にも、優れた演奏は多々あります。私が聞いたことがある範囲でも、デヴィッド・ヘイゼルタインの「不思議の国のアリス」Alice in Wonderland、あるいは、ハロルド・メイバーンの「ファンタジー」Fantasy などはオススメですし、聞いたことのない名演奏もいっぱいあると思います。ちゃんと確認していませんが、今日のエントリーで取り上げたCDはすべて、昨年廃刊になったスイングジャーナル誌のゴールドディスクに選ばれている気がします。なお、ジャケット写真は勝手ながら amazon の各ページから拝借しています。

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