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2011年3月19日 (土)

3連休の予定がすべてキャンセルされて『カササギたちの四季』を読む

東日本大地震から1週間がたち、この週末の予定はすべてキャンセルされました。今日の土曜日は京都大学経済学部の同窓会東京支部の総会がある予定でしたが早々に延期となり、明日は、何と、東京電力の火力発電所トゥイニー・ヨコハマを見学に行くハズでしたが、実にごていねいなお断りの電話をいただきました。仕方ありません。家にこもって読書しています。

道尾秀介『カササギたちの四季』(光文社)

道尾秀介『カササギたちの四季』 (光文社) を読みました。この直木賞作家については、すでに2月26日に受賞作である『月と蟹』を取り上げましたが、実は、私が読んだのはこの1冊だけで、デビュー作の『背の眼』にさかのぼろうか、それとも受賞後第1作にしようかと考えていたところ、早々にこの『カササギたちの四季』が出ましたので買い求めて読みました。
主人公はリサイクルショップ・カササギに勤務する美大出身の日暮正生となっています。一応、副店長らしいんですが、店長の華沙々木丈助とは同級生です。寺の住職や中学生の女の子が日常的に登場します。日暮には買い取った中古品をリペアしたり、逆に古く見せかけたりして商品に仕立て直す技術があり、店長の華沙々木は『マーフィーの法則』の原書に詳しくてすぐに引用する、という設定になっています。この日暮や華沙々木の周辺で奇怪な事件が起こり、華沙々木がヘボ探偵として的外れな謎解きをする一方で、日暮がフォローに回る、と言うストーリーで、タイトル通り春夏秋冬の各季節の4話を収録しています。四季を通じた風景や登場人物の感情の動きをていねいに書きとめており、小説としてはなかなかすばらしい出来と私は受け止めています。

私はこの作者の作品は2冊しか読んでいませんが、謎解きはかなりライトなミステリですので別にして、華沙々木のようなキャラを登場させてユーモラスに物語を進めるエンタテインメント系の作品もあるんでしょうか。デビュー作の『背の眼』や『骸の爪』などはややホラーっぽいミステリとどこかで読んだ記憶がありますが、この作者の作品を読み進むのがますます楽しみになって来ました。

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