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2011年4月12日 (火)

IMF「経済見通し」見通し編では日本経済の下振れは限定的と見込む

昨夜に続いて連続となってしまいましたが、今夜も国際通貨基金 (IMF) の「世界経済見通し」 World Economic Outlook の見通し編第1章と第2章を取り上げます。いつもの通り、第1章は世界経済の見通し、第2章は地域ごとの見通しに充てられています。

まず、ヘッドラインとなる成長率見通しは IMF のサイトから引用して以下の画像の通りです。なお、クリックすると全文リポートの p.2 Table 1.1. Overview of the World Economic Outlook Projections の1ページだけを抜き出した pdf ファイルがブラウザの別タブで開くようにリンクを設定してあります。

Latest IMF Projections

見れば分かると思いますが、日本は今年2011年+1.4%成長の後、来年2012年は+2.1%と潜在成長率水準を上回るパフォーマンスを示すと IMF では見込んでいるようです。当然ながら震災前だった前回2011年1月の「改定世界経済見通し」 World Economic Outlook Update と比較しても、今年2011年が▲0.2%ポイント下方に改定された一方で、来年2012年は逆に+0.3%ポイント上方改定されており、もちろん、この改定幅がすべて震災によるものではないとしても、震災の経済的な影響はかなり限定的と見通していることが読み取れます。もっとも、リポートの p.73 にある通り、"Assuming that the power shortages and the nuclear crisis are resolved within a few months" と前提していることには注意すべきかもしれません
世界経済全体は2011-12年にほぼ+4%半ばの成長を達成すると見込んでいますが、先進国全体で+2%代半ばに過ぎない一方、新興国は+6%台半ばの成長を続けると見通しています。今年の「世界経済見通し」は例年になく、p.181 Statistical Appendix の Table A1. Summary of World Output に、なぜか、5年後の2016年の成長率が示されているんですが、2016年までこの傾向は変わりません。日本は2016年に+1.2%成長であると予想されています。低成長の先進国と高成長の新興国・途上国の間で成長率の差が生じており、日本は先進国の中でも低成長に止まると考えられています。多くのエコノミストが同意するのではないでしょうか。

Overheating Indicators - G20

他方、新興国の高成長はすべての面で望ましい現象では決してなく、G20諸国の中にもいくつか景気が過熱しつつある国がある現状を示唆しているのが上の画像です。最初の画像と同じく IMF のサイトから引用していますが、同じ画像は全文リポートの p.20 にも現れています。中東の政治情勢などの地政学的な要因も無視できませんが、もちろん、新興国の高成長と商品価格の高騰は表裏一体と考えるべきです。
第1章の経済政策に着目した節のタイトルを並べると、IMF の政策スタンスが明らかになると思います。取りあえず、先進国向けを中心に、リポートのページ数とともに、いくつかの政策スタンスをピックアップすると以下の通りです。

  • Advanced Economies Need to Repair Public and Financial Balance Sheets (p.14)
  • Monetary Policy Can Remain Accommodative in Most Economies (p.15)
  • Much Stronger Efforts Are Needed to Maintain or Rebuild Fiscal Credibility (p.16)
  • Financial Sector Repair Must Be Accelerated (p.16)

他はともかく、日本は財政再建について先進国の中でも最悪の状態にあることは衆目の一致するところなんですが、リポートの p.17 には "While the immediate concern in Japan should be to support reconstruction, measures that support a reduction of its high public debt ratio over the medium term need to be specified to maintain the strong confidence of its investor base." とされています。心やさしい国際機関である IMF は震災復興を最優先のプラオイリティに推してくれていますが、JGB がもし増発されると仮定すれば、greedy な市場がどう反応するかはやや不透明感があります。

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