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2011年4月11日 (月)

IMF「経済見通し」分析編と過去の数字の機械受注統計

旧聞に属する情報ですが、先週4月7日に国際通貨基金 (IMF) から「世界経済見通し」World Economic Outlook の分析編第3章と第4章が公表されています。我が家の下の子の入学式から順次情報を遅れて取り上げています。悪しからず。まず、チャプター・タイトルは以下の通り、石油の供給制約と資本フローの変動です。これらの日本語サマリーも公表されています。

まず、第3章について、石油の供給制約が成長の鈍化や対外不均衡の悪化につながるかどうかについては、前者に対しては慎重ながらも楽観的、後者はやや悲観的なトーンであると私は読み取りました。リポートの p.101 から IMF の Global Integrated Monetary and Fiscal Model (GIMF) を用いた定量的な試算結果が示されています。標準ケース Benchmark Scenario として、今後20年にわたって石油供給の伸びが従来のトレンドである毎年+1.8%増から▲1%ポイント低下して+0.8%増となった場合、20年後の世界GDPは▲3%下振れ、経常収支も20年後に米国や欧州ではGDP比で▲1.5%超、日本では▲2%超の悪化となります。成長については、毎年の成長率に換算して中長期的に▲0.15-0.25%ポイントの引下げ圧力と計算されています。成長の下振れについては、現在の石油需要を押し上げている中国などの新興国において、経済活動上の石油のGDP原単位が改善するため、影響は予想されたほど大きくないとの結果です。詳しくは解説しませんが、このブログで何回か取り上げた環境クズネッツ曲線的なパスが、リポートの p.95 Figure 3.4. Primary Energy Consumption で中国における1次エネルギーと1人当たり購買力平価GDPの間に示されています。なお、リポートの p.102 Figure 3.9. Oil Scarcity and the Global Economy: Benchmark Scenario から引用した標準ケースのシミュレーション結果のグラフは下の通りです。米国、アジア新興国、ユーロ圏、日本における実質GDP、実質需要、経常収支の乖離が示されています。政策的なインプリケーションとしては、IMF の従来の考えが色濃く反映されており、市場における価格シグナルの役割を強化する必要を論じています。

Figure 3.9. Oil Scarcity and the Global Economy: Benchmark Scenario

次に、第4章の資本フローについて、リポートの p.126 Figure 4.1. The Collapse and Recovery of Cross-Border Capital Flows を引用した下のグラフに見られるように、金融危機後の資本フローの回復は急ピッチで進んでおり、水準ではなくペースの点で著しかった impressive と結論しています。ネットの資本フローは slightly more volatile になった一方で、新興国への資本フローは世界的な低金利とリスク回避選好が低下した環境下で、より成長パフォーマンスの高い国に流れていることが示されています。また、当然ながら、米国との金融的なリンケージの高い国ほど米国の金利変動が資本フローに及ぼす影響が大きくなることを論じています。政策的なインプリケーションとしては、変動する資本フローに対してマクロ政策や金融監督政策による安定化を支持しています。

Figure 3.4. Primary Energy Consumption

最後に、本日、過去の数字ながら、内閣府から2月の機械受注調査結果が発表されています。下のグラフは季節調整済みの機械受注ですが、上のパネルは船舶と電力を除く民需のコア機械受注とその後方6か月移動平均を、下のパネルは外需、製造業と船舶と電力を除く非製造業の需要者別を、それぞプロットしています。影をつけた部分は景気後退期です。2月までの機械受注は製造業が伸びて非製造業が落ちる傾向にありましたが、景気ウォッチャーを考え合わせると、非製造業の落ち方がさらに大きくなるのかもしれません。もちろん、製造業も含めてオールジャパンの全業種で、震災は設備投資マインドを悪化させていると考えるべきです。

機械受注の推移

少し取り上げるのが遅れ気味になっていますが、IMFの「世界経済見通し」分析編を中心にしたエントリーでした。IMF世銀総会を週末に控えて、近く、見通し編も発表されると思いますので、子供達の行事も終わったことですし、出来る限り遅滞なくフォローしたいと思います。

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