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2011年4月 6日 (水)

OECD と ADB の経済見通し、ついでに、日本の景気動向指数をチェックする

昨日、経済協力開発機構 (OECD) から Economic Outlook Interim Assessment が発表され、日本は推計に含まれていませんが、世界経済の順調な景気拡大のシナリオが示されたと私は受け止めています。まず、OECDのリポートから主要先進国の成長率見通しを取りまとめると以下の通りです。実質GDPの前期比年率成長率をパーセント表示しています。

 10Q310Q411Q111Q2
United States2.63.13.1 (+/-1.6)3.4 (+/-1.6)
Germany2.81.53.7 (+/-1.9)2.3 (+/-1.9)
France1.01.43.4 (+/-1.0)2.8 (+/-1.2)
Italy1.30.51.1 (+/-1.4)1.3 (+/-1.6)
UK2.9-1.93.0 (+/-1.2)1.0 (+/-1.3)
Canada1.83.35.2 (+/-1.0)3.8 (+/-1.9)
G7 excl Japan2.32.13.2 (+/-1.4)2.9 (+/-1.6)
Euro 31.91.23.0 (+/-1.5)2.2 (+/-1.6)

世界経済は順調に回復・拡大すると見込まれている一方で、日本経済に対する3月11日の東日本大震災の経済的影響についてはOECDのプレゼン資料のp.17から引用すると以下の通りです。

  • A tragic loss of human life, on a scale even worse than at the time of the Kobe (Great Hanshin) earthquake in January 1995.
  • Destruction of dwellings, infrastructure and private firm fixed capital: 3.3 to 5.2% of annual GDP according to the government's first estimate.
  • Supply-chain disruptions and lasting power shortages.
  • A lesson from Kobe (where physical damage was 2% of GDP): by the final quarter of 1995, real GDP in Hyogo prefecture was 7% above its pre-earthquake level.
  • The impact on GDP growth may range from -0.2 to -0.6 percentage points (quarter-on-quarter) in Q1 2011 and from -0.5 to -1.4 points in Q2 2011 but may turn positive in the second half of the year, as reconstruction gathers pace.
  • The fiscal costs are likely to be larger than for Kobe (when they amounted to 1% of one year's GDP, spread over 6 years).

上から3点が被害の度合いで、人的被害は1995年の阪神淡路大震災より深刻で、インフラと資本ストックのダメージはGDP比で3.3%から5.2%に上るとの我が国政府の試算を紹介し、サプライ・チェーンの崩壊と電力不足により、下の2点の結論が導かれています。すなわち、2011年1-3月期には成長率を▲0.2-0.6%ポイント、また、4-6月期には▲0.5-1.4%ポイント、それぞれ下押しされます。また、財政コストは6年に渡って毎年GDP比1%に上った神戸のケースを上回ると結論しています。妥当な試算であろうと私は受け止めていますが、福島第一原発の事故がどのくらいで終息するのかの見通し次第という気もします。最大の不透明要因です。さらに、今回のOECD経済見通し中間評価では、期間は今年2011年半ばまでをターゲットにしていますので、年後半に本格化する可能性の高い復興需要については out of scope となっているようです。

GDP growth and inflation, developing Asia

また、今日、アジア開発銀行 (ADB) から Asian Development Outlook 2011: South-South Economic が発表されました。上のグラフは pdf の全文リポートp.19から Table 1.2.1 GDP growth and inflation, developing Asia を引用しています。画像をクリックすると、別タブか別窓でリポートにあるGDP成長率、1人当たりGDP成長率、インフレ率の3ページを抽出したpdfファイルにリンクを張ってあります。2008-09年の Great Recession 以降の特徴のひとつで、先進国の低成長と新興国・途上国の高成長という convergence の一形態と見られなくもない世界経済の動きが観察されますが、この ABD 見通しでも "Twin-track global growth" と表現されており、アジア新興国・途上国は日本を尻目に高成長が見込まれています。他方、日本の震災被害の経済的なインパクトについては、リポートのp.11に "Economic effects of the Tohoku disaster on Japan" と題するコラムが置かれており、OECDの見通しにあるような短期的なインパクトに加えて、"Private consumption and production are now falling but capital-stock rebuilding, largely financed by the government, will exert a positive effect in the longer run." との見通しを明らかにしています。ただし、 "assuming that the nuclear crisis at Fukushima is brought under control" が前提となっています。また、アジア新興国・途上国に主眼を置いている経済見通しですので、かなりの紙幅をインフレに割いていますが、日本経済に直接の関係は小さく今夜のところは省略します。

景気動向指数の推移

最後に、今日の午後、内閣府から2月の景気動向指数が発表されました。上のグラフの通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数、下はDI一致指数です。影をつけた部分は景気後退期です。やっぱり、順調に踊り場を脱し本格的な景気回復軌道に復帰する2月までの動きが確認されます。まったくの過去の数字です。

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