明日発表の1-3月期GDP1次QEは震災の影響でマイナス成長か?
内閣府による明日5月19日の発表を前に、GDP統計1次速報に必要な経済指標がほぼ出尽くし、各シンクタンクや金融機関などから2011年1-3月期の1次QE予想が出そろいました。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しました。特に、震災の影響と今後の見通しを優先的に取ったつもりです。より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートがダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別画面が開いてリポートが読めるかもしれません。
機関名 | 実質GDP成長率 (前期比年率) | ヘッドライン |
日本総研 | ▲0.3% (▲1.4%) | 震災に伴い、1-3月期は▲5%ポイント程度下振れ |
みずほ総研 | ▲0.7% (▲2.9%) | 4-6月期は輸出の減少を主因にマイナス成長が続く可能性大 |
ニッセイ基礎研 | ▲0.5% (▲2.0%) | 東日本大震災発生以降、経済活動は急速に落ち込み、それまでの回復基調は完全に途切れてしまった |
第一生命経済研 | ▲0.7% (▲2.7%) | 1-2月までの景気は底堅く推移しており、震災がなければプラス成長が展望できる状況にあったが、大震災の影響により3月の経済活動が急激に冷え込んだ結果、2010年10-12月期に続いてマイナス成長になったものと予想 |
三菱UFJリサーチ&コンサルティング | ▲0.5% (▲1.9%) | 東日本大震災以降の生産活動の落ち込みが大きく影響 |
三菱総研 | ▲1.0% (▲3.9%) | 東日本大震災の影響から、3月の各種経済指標の結果は軒並み大きく落ち込んでおり、2四半期連続のマイナス成長を見込む |
伊藤忠商事 | ▲0.3% (▲1.1%) | 大震災の悪影響は輸出減少を通じ4-6月期に最大となり、日本経済は3四半期連続のマイナス成長 |
実際の数字は少しバラツキがあるんですが、以下の何点かはほぼコンセンサスがあるんではないかと私は受け止めています。第1に、「震災なかりせば」という非現実的な前提の下では、1-3月期はプラス成長を展望できたんでしょうが、現実には震災があったわけですし、1-3月期は2四半期連続のマイナス成長を記録したと考えるべきです。第2に、震災のダメージは1-3月期ではなく4-6月期がもっとも大きく、4-6月期は1-3月期よりもさらに大きなマイナス成長となる可能性が高いと考えるべきです。第3に、震災の影響が大きい需要項目は消費と輸出と取り崩された在庫であると考えるべきです。消費についてはマインドの悪化が、輸出については生産の停滞が主たる原因です。設備投資については6四半期振りにマイナスに転ずる可能性がありますが、需要サイドを織り込んだ2次QEでは少なくとも上方改定される可能性が高いと受け止めています。

最後に、上のグラフは経済産業省から本日発表された第3次産業活動指数の推移です。今年3月の前月比下落率は▲6.0%と、消費税が導入された1989年4月以来22年振りの大きな下げを記録しました。
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