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2011年5月30日 (月)

消費者マインドと供給制約における震災の影響はいかに現れたか?

従来からこの私のブログで主張している通り、極めて大雑把に言って、震災の影響は第1に供給サイドでは資本ストックの棄損などに伴う供給制約、第2に需要サイドでは消費者マインドの低下、に大きく表れると私は考えています。この震災が需給に及ぼす影響について、かなり旧聞に属する話題ですが、いくつか簡単なリポートが発表されていますので、やや遅きに失しましたが、軽く取り上げておきたいと思います。

需給ギャップ試算値 (みずほ総研)

まず、上のグラフはみずほ総研のリポート「震災後の需給ギャップは約22兆円 - 供給制約を織り込んだ需給ギャップの推計 -」の図表1を引用しています。リポートは5月20日に発表されています。試算推計の詳細はリポートに譲りますが、潜在GDP水準は生産関数で推計されています。震災がなかったと仮定した場合の需給ギャップが明らかではないので、震災が需給ギャップに及ぼした限界的な影響は不明ですが、直観的に、潜在供給のマイナスよりも需要のマイナスがかなり強めに推計されていると私は受け止めています。例えば、日経新聞のサイトで報じられているように、内閣府試算の1-3月期需給ギャップは直前四半期と同じ▲3.9%で、それなりに私の実感にも合致するんですが、みずほ総研試算では1-3月期に需給ギャップのマイナスが拡大しているのは、やや違和感を感じるエコノミストがいそうな気がします。もちろん、資本ストックの棄損のみを考慮したパターン1よりも電力不足や部品不足を加えたパターン2の方が需給ギャップは上振れします。当然です。結論として、2012年度中に需給ギャップが正になることはなく、供給制約がデフレ脱却につながるわけではない、というのは大方のエコノミストが合意するところだという気がします。

景気ウォッチャー現状判断DI (地域別)

一方、震災後の地域別のマインドが収束 converge しつつある可能性を示唆しているのが内閣府の「今週の指標」No.990です。5月12日に公表されています。上のグラフは図4を引用しています。地域別に景気ウォッチャーの現状判断DIを見て、当然ながら、2月から3月にかけては被災地域の下げ幅が大きかったんですが、九州ブロックだけを例外として、逆に、3月から4月には被災地域がマインドを改善させている一方で、被災していない地域のマインドが悪化しています。大雑把に、西日本のDIがまだ高いんですが、東日本との差は大きく縮小しています。私は少し意外に受け止めています。すなわち、被災地域と被災地域以外と、ともにマインドが改善する中で、相対的に被災地域のマインド改善が進むことから収束が生じると考えていましたが、被災地域以外でマインドが一段の悪化を見せるとは想定外だった気がします。原因は私にはよく分かりませんが、マインドの収束が進むことについては結果的には同じなのかもしれません。

供給サイドを考えると、みずほ総研の1-3月期需給ギャップが拡大するのに少し違和感あるものの、震災によってたとえプラス方向に振れたとしても、2012年中、もしくは2012年度中まで需給ギャップがプラスに転ずる蓋然性は低く、物価はデフレ圧力を受け続ける可能性が高いと受け止めるべきです。需要サイドのマインド悪化については、ジグザグした動きを示しながら地域レベルで収束するかどうかはともかく、徐々に改善に向かうことを期待しています。

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