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2011年5月27日 (金)

プラスに転じたコア消費者物価上昇率をどう考えるべきか?

本日、総務省統計局から消費者物価指数 (CPI) が発表されました。4月の全国と5月の東京都区部です。最も注目される4月の戦線食品を除く全国コアCPIの前年同月比上昇率は+0.6%と2年4か月振りにプラスに転じました。5月の東京都区部も+0.1%と、4月の+0.2%に続いてプラスをキープしています。また、経済産業省から4月の商業動態統計が発表され、小売販売は前年同月比で3月の▲8.5%減からやや減少幅を縮小しましたが、4月も引き続き▲4.8%減と減少を続けています。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

消費者物価2年4カ月ぶりプラス 4月0.6%上昇
総務省が27日発表した4月の消費者物価指数(CPI、2005年=100)は変動の大きい生鮮食品を除くベースで99.8となり、前年同月比で0.6%上昇した。前年比でプラスとなるのは08年12月以来2年4カ月ぶり。原油高騰などでエネルギー価格が上昇したほか、高校授業料の実質無償化の影響が4月で一巡したことも物価指数を押し上げた。
4月の上昇率は、民間エコノミストの予測中央値と同じだった。生鮮食品を含む総合は0.3%上昇の99.9。食料とエネルギー価格を除いた総合指数(欧米型コア)は0.1%低下の97.2だった。
消費者物価がプラスに転じたのは資源高の影響が大きい。エネルギーは前年比7.3%の上昇となり、全体の消費者物価指数(生鮮食品を除くベース)を0.60ポイント押し上げた。品目別にはガソリンが13.2%上昇。電気や都市ガスも4月からの値上げを受けて、それぞれ1.5%、1.4%上がった。
昨年4月に始まった高校授業料の実質無償化の影響が一巡したことも、プラス転換の一因。3月までは高校授業料が指数を0.53ポイント押し下げていたが、4月はこのマイナス要因がなくなった。
東日本大震災で製造工場が被災し、出荷が落ち込んだ鶏卵や納豆、ヨーグルトは価格が上昇した。その一方で、消費自粛の広がりでホテルなどの宿泊料は2.9%の下落となった。総務省は5月に入ってからは食料価格が落ち着いていることなどから「いまのところ震災の影響は大きくない」とみている。
耐久財の下落傾向は変わっていない。薄型テレビは40.2%、電気冷蔵庫は25.0%それぞれ下落した。「家電エコポイント制度の終了後の量販店などの値下げも影響した」(バークレイズ・キャピタル証券の森田京平チーフエコノミスト)とみられる。
総務省が27日発表した東京都区部の5月のCPI(05年=100、中旬速報値)は、生鮮食品を除くベースが0.1%上昇の99.0と、2カ月連続で前年を上回った。食料とエネルギー価格を除いたベースでも0.1%の上昇だった。
4月の小売販売額、4.8%減 大型既存店は1.9%減
経済産業省が27日発表した4月の商業販売統計速報によると、小売業販売額は前年同月比4.8%減の10兆8550億円で、2カ月連続の減少だった。
大型小売店の販売額は、百貨店とスーパーの合計で0.9%減の1兆5657億円。既存店ベースの販売額は1.9%減だった。うち百貨店は1.8%減、スーパーは1.9%減だった。
コンビニエンスストアの販売額は3.0%増の6630億円。既存店ベースは1.0%増だった。

次に、いつもの消費者物価上昇率のグラフは以下の通りです。青い折れ線グラフが生鮮食品を除く全国のいわゆるコアCPI、、赤が食料とエネルギーを除くいわゆるコアコアCPI、グレーが東京都区部のコアCPIのそれぞれの前年同月比上昇率で、棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。色分けは凡例の通りです。引用した記事にもある通り、昨年4月から実施された高校実質無償化の影響が剥落して、コアCPI上昇率はプラスに転じています。しかし、コアコアCPIはまだマイナスのままであることが読み取れます。黄色の棒グラフで示されたエネルギーに支えられた物価上昇といえます。

消費者物価上昇率の推移

消費者物価上昇率については、まだ、プラスが定着するかどうかに疑問が残っています。すなわち、第1に、すでに今年2月22日付けのエントリーで取り上げているところですが、今夏の基準改定に伴って▲0.6-0.7%程度ポイントの下方修正となることから、この程度の物価上昇であれば、数か月で再びマイナスに舞い戻ることはほぼ確実となっています。第2に、今月5月6日付けのエントリーで取り上げたように、国際商品市況が高止まりしているものの、上昇のモメンタムを失っていることです。例えば、原油に関しては、5月に入ってバレル100ドルを挟んだ動きとなっており、先行き、さらに上昇を続けるかどうかは不透明です。現在の水準で横ばいに推移すると仮定すれば、9-10か月くらいは前年同月比で物価上昇要因となりますが、徐々にその寄与度は縮小することになります。もちろん、国際商品市況が低下に転じることがあれば、物価の低下要因となることは明らかです。

財分類別消費者物価上昇率の推移

しかしながら、マクロとは別のマイクロな観点から物価上昇が国民生活に影響を及ぼし始めていることに注目すべきです。そのため、いくつかの統計的なエビデンスを上のグラフから読み取ることが出来ます。上のグラフのうち、上のパネルは基礎的支出と選択的支出に分けた消費者物価上昇率、下のパネルは購入頻度別に分け、年間9回以上購入する財と9回未満の財に分けた消費者物価上昇率です。見れば明らかですが、選択的支出よりも基礎的支出の方が、また、購入頻度の高い財の方が物価上昇率が高くなっています。すなわち、マクロの物価上昇率以上に頻度高く購入する財の上昇率が高く、生活実感としてCPI以上に物価が上がっている感触が生じる可能性があります。そして、選択的な支出よりも基礎的な支出の比率が高いと想像される低所得者層により大きなダメージを及ぼしかねない物価の動向であると言えます。ですから、統計に表れるマクロの消費者物価上昇率以上にマイクロな国民生活や国民マインドに悪影響があるのではないかと心配されます。

商業販売統計の推移

最後に、報道の方も短くしか取り上げませんでしたが、商業販売統計の推移は上のグラフの通りです。私は主として卸売よりも小売の方を重視しているんですが、震災に伴う消費者マインドの低下などで3月に大きく減少した小売販売も4月から少しずつ上向きかけている可能性があります。4月の小売販売について、上のパネルから季節調整していない原系列の前年同月比のマイナス幅が縮小し、下のパネルから季節調整した指数はリバウンドしていることが読み取れます。消費はマインドの改善とともに徐々に増加し始める可能性が高いと私は受け止めています。

今夜のエントリーではGDPの過半を占める消費に関連する指標を取り上げましたが、ボリュームが大きいだけに震災の影響を脱するには時間がかかる可能性が私は高いと考えています。物価の動向も消費に好ましいものとは言えませんし、少し長い目で回復を見通すべきと考えられます。

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