サマータイムの導入は節電と消費喚起に効果があるか?
私は20年近く前に3年間駐在していた南米チリでサマータイムの経験がありますが、今夏は国を上げてのサマータイムの導入こそ見送られたものの、震災の影響に伴う節電の必要などから、地域ベースで、あるいは、会社単位でサマータイムを導入する例が増えています。反対論が根強い一方で、節電をはじめとするエネルギー消費の削減に一定のの効果があるとの試算例もあります。例えば、やや古いんですが、環境省の中央環境審議会地球環境部会第28回会合において提出された「サマータイム制度導入による省エネ効果試算結果」では、社会経済生産性本部の試算結果を引用して、サマータイム導入による二酸化炭素削減効果は25-123万トンとしています。環境省の算定に従えば、2009年度で12億トンを超える我が国の温室効果ガスの排出量から見れば微々たるものですが、サマータイムの温室効果ガス排出削減効果はゼロではありません。
他方、6月14日に発表されたマクロミルの「サマータイム導入による 'アフター4' の過ごし方に関する調査」結果によれば、勤務先がサマータイムを導入し退社時刻が早くなった会社員・公務員について調査したところ、上のグラフの通り、男女ともほぼ過半が「まっすぐ帰宅する」と回答している一方で、「ショッピング」、「飲みに行く」も無視できない割合、特に女性では「ショッピング」が高い割合を示しています。これまた、温室効果ガスの排出削減と同じで、サマータイムの消費喚起効果は微々たるものながらゼロではないという結論になりそうな気がします。
省エネや温室効果ガス排出削減にせよ、消費の喚起にせよ、かなり効果は小さいのではないかと推定されるサマータイムなんですが、実際に体験した私の感想は少し違います。チリのような西に向かった海岸線が長々と続く国で、午後9時ころに太平洋に沈む太陽の眺めは格別です。それを見るころまで昼間と変わらぬ活動が可能なのも魅力です。せいぜい7時に起きる私のようなサラリーマンにとって、4時半に日の出があっても太陽の恵みがムダになっているとしか思えません。無用の残業が増えるとか、反対論が根強いことは承知していますが、今年だけでも2時間くらい時計を早めるサマータイムを実施してはどうでしょうか?
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