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2011年6月 8日 (水)

輸出が大きく落ち込んだ経常収支とリバウンド激しい景気ウォッチャー

本日、財務省から経常収支などの国際収支が、また、内閣府から景気ウォッチャー調査の結果が、それぞれ発表されました。国際収支は4月、景気ウォッチャーは5月の統計です。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

経常黒字、4月は7割減の4056億円 震災で輸出減響く
財務省が8日発表した4月の国際収支速報によると、モノやサービス、配当、利子など海外との総合的な取引状況を示す経常収支の黒字額は4056億円と前年同月比で69.5%減少した。4月の黒字額としては比較可能な1985年以降で最低となった。
4月は貿易収支が4175億円の赤字に転落した。訪日外国人の落ち込みで、旅行や輸送などのサービス収支も赤字額が前年同月比で6.3%増加した。
一方、利子や配当にかかわる海外との取引を示す所得収支は黒字額が前年同月比34.9%増と大幅に増えた。海外からの投資信託の分配金が増えていることが一因。財務省は「分配金は地震と関係があるとは考えにくく、当面続く可能性が大きい」(国際局)と説明。当面は経常収支の黒字の目減りを抑える要因となる可能性がある。
一部の金融機関が前年同月に海外支店へ多額の送金をした反動で、海外へのお金の流出が減ったという特殊要因も所得収支の黒字増加に寄与した。
街角景気2カ月連続改善 5月現状判断は09年3月以来の上昇幅
内閣府が8日発表した5月の景気ウオッチャー調査によると、街角の景気実感を示す現状判断指数は前月比7.7ポイント上昇の36.0と、2カ月連続で改善した。リーマン・ショック後の改善がみられた2009年3月(9.0ポイント上昇)以来の上昇幅で、比較可能な00年1月以降でも3番目の大きさ。2-3カ月先の先行き判断指数も6.5ポイント上昇の44.9と2カ月連続で改善した。
内閣府は基調判断を「東日本大震災の影響により厳しい状況が続いている」から「震災の影響により厳しい状況が続いているものの、上向きの動きがみられる」と上方修正した。
東日本大震災発生後の自粛ムードの弱まりによる購買意欲の回復や復旧・復興による需要期待、生産の早期回復への期待が背景。夏場に向けた節電対策として、照明器具やエアコンなど家電製品の需要、生産前倒しによる増産もみられた。
一方、東京電力福島第1原子力発電所事故の影響や観光業などの落ち込み、夏場の電力供給の不透明さを懸念する声は強い。原材料価格の高騰をコスト転嫁できないといった声も聞かれた。
地域別にみると、現状判断は全国的に回復がみられるなか、沖縄のみ3カ月連続で低下している。記者会見した和田隆志内閣府政務官は「製造業より非製造業の立ち直りが弱く、なかでも観光業が極めて悪い。原発事故の風評被害を脱却する必要がある」と指摘。また、大幅に改善した東北地方についても「サプライチェーンの代替効果を見極める必要がある。これから先そのまま回復していくかは極めて慎重な見方をしないといけない」との認識を示した。
調査は景気に敏感な小売業関係者など2050人が対象。3カ月前と比べた現状や、2-3カ月先の景気予想を「良い」から「悪い」まで5段階で評価してもらい、指数化する。今回の調査期間は5月25日から月末まで。

次に、経常収支のグラフは以下の通りです。青い折れ線グラフが経常収支尻で、棒グラフがその内訳となっています。いずれも左軸の単位は兆円です。棒グラフの色分けは凡例の通りです。なお、グラフは季節調整済みの系列に基づいてプロットしていますので、引用した記事と少し印象が異なる可能性がありますが、引用した記事と共通する明らかな特徴は、黒い棒グラフで示した4月の貿易収支が赤字になっていることです。季節調整済みの系列での貿易赤字は2008年9月のリーマン・ショック後以来なんですが、当時よりも現在の方がかなり赤字幅が大きいことが読み取れます。震災に伴う供給制約のために輸出が大きく減少した影響が表れています。もっとも、この貿易赤字はかなり短期の減少であり、震災からの復興が始まればV字回復する可能性が大いにあると私は受け止めています。

経常収支の推移

別の面で、日本経済のV字回復の可能性を示唆しているのが下のグラフの景気ウォッチャー調査結果です。引用した記事にもある通り、赤い折れ線の現状判断DIも、水色の先行き判断DIも、いずれも大きくリバウンドしていますが、先行きの方がより大きく回復していことが、この4月から5月にかけての特徴です。単純に捉えると、先行きがだんだんと明るくなっていくという意味ですが、これがいつまで続くか、すなわち、現状判断DIの折れ線が先行き判断DIを下から切るのはいつか、を私は注目しています。景気の本格回復のシグナルかもしれません。いずれにせよ、消費もひょっとしたらV字回復するのかもしれないと注目しています。

景気ウォッチャー調査の推移

最後に、適当なものがなかったので図表の引用はしませんが、世銀から「世界経済見通し」Global Economic Prospects, Volume 3, June 2011が公表されています。いくつかのメディアで報じられている通り、我が国の今年2011年の成長率は+0.1%と見込まれています。もっとも、来年2012年の成長率は+2.6%に大きくリバウンドし、さ来年2013年も+2.0%と順調な成長を続けると予想されています。pdf の全文リポートの p.2 の Table 1 The Global Outlook in summary と、p.5 の Box 1 Short-term impact of the disaster in Japan を、それぞれ今夜のエントリーの参考にしています。

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