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2011年7月 6日 (水)

本日の日経経済教室の趣旨に賛同する!

一昨日、月曜日のエントリーでも主張しましたが、現在の内閣が進めている社会保障改革の最大の問題点は社会保障給付にほとんど手をつけずに、拠出や増税だけが先行している点だと私は考えています。それをもっと上品な表現で主張しているのが、本日の日経経済教室の「世代間の所得移転 縮小を」と題する小塩教授の主張であると私は受け止めています。まず、日経経済教室にもあったのと同じものも含めて、年齢階級別にみた所得再分配状況についてグラフをお示しすると以下の通りです。

年齢階級別にみた所得再分配状況

いずれもデータの出典は厚生労働省の平成20年「所得再分配調査報告書」であり、上のパネルは日経新聞の経済教室のグラフをマネており、データの出典は「報告書」の統計表 pp.31-32 の第4表 世帯主の年齢階級別所得再分配状況であり、横軸に世帯主の年齢階級を取って、縦軸には年間の税+社会保険料で定義される青い棒グラフの拠出と赤い棒グラフの給付を万円単位で示しています。下のパネルは「報告書」の第1章 p.10 表5 世帯主の年齢階級別所得再分配状況から取っており、横軸は世帯主の年齢階級である点は上のパネルと同じですが、水色の折れ線グラフの当初所得と緑色の折れ線グラフの再分配所得を示した上で、その差額を当初取得で除した再分配係数の棒グラフをプロットしています。黄色の棒グラフの再分配係数のみ右軸に対応しています。
上のパネルの拠出と受給を見れば、60歳を境に需給が拠出を上回っていることが読み取れます。下のパネルからも同様に60歳を境に再分配所得が当初所得を上回り、70歳以上になると再分配係数が200%を超える、すなわち、当初所得よりも社会保障で受給する方が2倍以上も多い、という結果が読み取れます。小塩教授の指摘する勤労世代から引退世代への世代間の所得移転が大きい事実が如実に示されています。

当初所得階級別の拠出と受給

では、所得階級別に再分配が行われているのかというと、必ずしもそうではないように見えます。上のグラフは「報告書」の第1章 p.7 表3 当初所得階級別所得再分配状況からデータを取っていますが、縦軸が年間の当初所得であり、横軸が年間の拠出と受給を示しています。さすがに、青の棒グラフで示した税+社会保険料の拠出は、明らかに、所得に従って増加している一方で、赤い棒グラフの受給の方は年収350万円を超えれば一定の規則性を見出すのが難しく、高所得層から低所得層への所得の再分配がなされているかどうかは極めて疑わしい、と結論せざるを得ません。最初に示した年齢別のグラフと考え合わせれば、所得階層に従った再分配ではなく、年齢で所得の再分配が決まっているような印象すら持ちかねません。ですから、社会保障給付の効率化を進めずに現行制度のままだと仮定すれば、たとえ、増税したとしても低所得層に財政リソースが向かうのではなく、無条件で高齢の引退世代につぎ込まれる可能性が高いと考えるべきです。私が現在の社会保障改革に疑問を呈している根拠でもあります。
なお、1点だけ本日の日経新聞経済教室の議論について補足しておけば、小塩教授は「社会保障には『自己破壊性』がある」として、社会保障が充実すれば子供に老後の世話になる必要が少なくなって非婚化や少子化が進み、社会保障制度が維持できなくなる可能性について書いていますが、私はより普遍的な表現として「フリーライダー」と称するべきであると考えています。すなわち、賦課制度の社会保障の下では、現役世代から引退世代へ所得移転が行われ、それは子供や子育て経験の有無に関係がありません。もしも、子育てにコストがかかるとすれば、自分では子供を作らずに他人が育てた子供が勤労世代に達した際の拠出で給付を受けようとする「フリーライダー」のインセンティブが生まれます。逆から考えれば、子育ては将来の社会保障財源を生み出す公共財であるといえます。伝統的な財政学に従えば、公共財は補助金を支給しなければ過小供給に陥ると考えられており、まさに、現代日本の少子化がそれを実証しているように見えるのは私だけではないと思います。しかし、月曜日のエントリーで指摘した通り、シルバー民主主義の政治的なパワーは「後期高齢者医療制度」を葬り去り、子ども手当にも反対しているように見えなくもありません。

景気動向指数の推移

最後に、社会保障から話題を転じて、上のグラフは今閣府から今日発表された景気動向指数の推移です。上のパネルがCI、下がDIです。報じられているように、CI一致指数は過去最大の上げ幅を記録しています。我が国の経済は震災前の状態に復旧しつつあるようです。

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