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2011年7月 8日 (金)

力強くV字回復を示した景気ウォッチャー調査に見るマインドの改善は景気に先行するか?

本日、内閣府から6月の景気ウォッチャー調査結果が、また、財務省から5月の経常収支が、それぞれ発表されました。景気ウォッチャー調査のうちの現状判断DIはグンと改善して震災前の2月の水準を回復しましたが、国際収支は輸出の不振から貿易収支が赤字を続けており、経常収支の黒字幅は大きく縮小しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の街角景気、震災前上回る 猛暑・節電に商機
現状判断指数、改善幅は最大

内閣府が8日発表した6月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、足元の景気実感を示す現状判断指数は前月比13.6ポイント上昇の49.6と、3カ月連続で改善した。改善幅は統計を取り始めた2000年1月以降で最大。東日本大震災後に落ち込んだ消費マインドの回復に加え、下旬からの猛暑や節電に伴い省エネ関連やクールビズ関連の商品の売れ行きが好調だった。
現状判断指数の水準は震災前の2月(48.4)を上回り、10年7月(49.8)以来の高水準だった。内閣府は基調判断を「景気の現状は、震災の影響による厳しさが残るものの、持ち直しの動きがみられる」と総括し、2カ月連続で上方修正した。ただ「景気そのものが戻っているというには指標やデータを確認する必要がある」とも指摘している。
指数を構成する家計、企業、雇用ともに過去最大の伸び幅を記録し、大幅に改善した。地上デジタル放送への移行を控えた液晶テレビの駆け込み需要もみられた。震災後停滞していた部品・部材の供給改善に伴い、生産も急速に回復しているという。
2-3カ月先の先行き判断指数は4.1ポイント上昇の49.0。自粛ムードの弱まりによる購買意欲の回復や復旧・復興による需要を期待する声がある一方で、電力不足や福島第1原子力発電所事故の影響、原材料の価格高騰などを懸念する声も聞かれた。
調査は景気に敏感な小売業関係者など2050人が対象。3カ月前と比べた現状や、2-3カ月先の景気予想を「良い」から「悪い」まで5段階で評価してもらい、指数化する。今回の調査期間は6月25日から月末まで。
5月の経常黒字額、51.7%減 貿易収支の赤字響く
財務省が8日発表した5月の国際収支状況(速報)によると、経常黒字額は前年同月と比べて51.7%減の5907億円だった。所得収支の黒字額は拡大したが、貿易収支が2カ月連続の赤字だったため、3カ月連続で前年同月を下回った。
貿易赤字は7727億円で、前年同月の4027億円の黒字から大幅に減少、赤字に転じた。自動車など日本の主力産業の輸出が落ち込んでいる。原粗油や液化天然ガス(LNG)といった燃料の輸入が増えたことも、2カ月連続での赤字につながった。
サービス収支は176億円の赤字で、前年同月に337億円だった赤字額が縮小した。旅行者の減少が重しになる一方、東日本大震災に伴う保険会社の再保険金の受け取りが改善に寄与したという。これらを合わせた貿易・サービス収支は7903億円の赤字だった。前年同月は3689億円の黒字だった。
所得収支は前年同月と比べて57.5%増え、1兆4581億円の黒字だった。投資信託の分配金などに加えて債券の利子収入があったため。黒字幅が2カ月連続で拡大した。貿易赤字を所得黒字が支える構造が続いている。
財務省は、先行きについて「LNGや原粗油は原子力発電の代替エネルギーではあるが、今後は復興の需要としても増えてくる。どれほどのペースで復興が進むのか注視したい」としている。

次に、景気ウォッチャー調査のグラフは以下の通りです。一番上のパネルはヘッドラインとなる現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。真ん中と下のパネルは震災のあった3月をはさんだ動きを、真ん中のパネルでは地域別に、一番下のパネルでは分野別に示しています。マイナス方向のやや色の薄い棒グラフは今年の2月から3月にかけての現状判断DIの下落を示しており、逆に、プラス方向の濃い色の棒グラフは3月から6月調査までの回復の幅を示しています。

景気ウォッチャー調査の推移

見れば明らかですが、景気ウォッチャーの現状判断DIも先行き判断DIも震災のあった3月を底にして、5-6月にかけて見事なV字回復を示しています。DIですから方向が重要であって、水準は大きな意味はないというのが教科書的な解釈ですが、引用した記事にもある通り、6月の現状判断DIは2月のレベルを超えました。また、通常の解釈の通り、震災の影響の大きかった地域や分野、すなわち、地域では東北や関東、分野では自粛ムードの影響の大きかった飲食など、3月の震災で大きく落ちたものの、その後、6月までにほぼ同等の回復幅を示しています。もちろん、引用した記事にある内閣府のコメントの通り、これはマインド調査の結果であって、景気そのものの動向を示しているわけではないんですが、マインドは景気に先行するわけですから、景気の先行きにも大いに期待が持てると考えているエコノミストは私だけではないと思います。

経常収支の推移

さらに、経常収支とその内訳の貿易収支などの動向は上のグラフの通りです。青い折れ線グラフは経常収支をプロットしており、棒グラフはその経常収支の内訳の貿易収支などを示しています。グラフは季節調整済みの系列であり、引用した記事の季節調整前の原系列の記述と少し感触が異なる部分があるかもしれません。いずれにせよ、見れば明らかな通り、サプライ・チェーンの棄損などに伴う供給制約から輸出が振るわず、4-5月と貿易収支が赤字を記録し、経常収支の黒字幅が大きく縮小しているのが読み取れます。足元だけを見ると、供給制約が緩和されつつあり、6月には貿易収支が黒字を回復する可能性もありますが、もう少し先の2-4四半期先を考えれば、原発停止に伴う石油や天然ガス輸入の増加、あるいは、復興需要の輸入への漏出も考えられますから、経常収支が震災前の姿を取り戻すことはかなり難しいと私は受け止めています。もちろん、大きく円高の進んだ為替に依存する部分も小さくありません。

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