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2011年9月20日 (火)

IMF World Economic Outlook 分析編を読む

3連休で大学の同窓会やおにいちゃんの文化祭に遊び回っている間に、着々と世銀と国際通貨基金 (IMF) の総会が近づいて来て、先週、IMF から World Economic Outlook 分析編第3章と第4章が発表されています。それぞれの日本語要旨もアップされています。第3章はインフレ、第4章は財政再建を取り上げており、タイトルは以下の通りです。リンクは pdf ファイルに張ってあります。

Figure 3.1. World Commodity Prices, 2000-11

まず、リポート第3章の p.102 Figure 3.1. World Commodity Prices, 2000-11 から引用した上のグラフに示されている通り、現在のインフレ圧力が商品市況に起因するものであり、国内の需給ギャップとは必ずしも無関係に発生している可能性を指摘し、物価を政策目標としている中央銀行の信認と併せて、いくつかの政策対応を分類しています。例えば、日本を含む多くの先進国に当てはまると考えられますが、中央銀行の信認が高く、遊休生産資源があって需給ギャップがデフレ的な場合は、商品価格に起因するインフレには特段の注意を払う必要はない、とされています。

Figure 3.6. Share of Food in the Consumption Basket

もちろん、いくつかの新興国・途上国では中央銀行の信認や国内の需給ギャップについて上の条件に当てはまらないわけで、例えば、リポート第3章の p.109 Figure 3.6. Share of Food in the Consumption Basket から引用した上のグラフに示されている通り、食料が消費に占める比率は新興国や途上国では先進国ほど低くないのが実情です。

Figure 3.9. Pass-through from International to Domestic Food Price Inflation

加えて、上のグラフはリポート第3章の p.112 Figure 3.9. Pass-through from International to Domestic Food Price Inflation から引用していますが、輸入価格から国内価格へのパススルーは先進国よりも新興国・途上国で高くなっており、国際商品市況の変動が国内物価に下り大きく影響を及ぼす構造となっています。ですから、中央銀行や金融政策の信認が十分でなく、需給ギャップがインフレ的であったり、あるいは、食料が消費に占める比率が高かったりする場合は先進国のように「注意を払う必要がない」とは言い切れず、積極的な政策対応を促しています。また、ついでながら、いわゆるヘッドラインの物価上昇率とエネルギーや食料を除いたコアの物価上昇についても分析していて、コアのインフレ率をターゲットとすることが望ましいとしていますが、このブログでは割愛します。

Figure 4.2. Effects on the Current Account of a 1 Percent of GDP Fiscal Consolidation

続くリポート第4章は、"Fiscal adjustment will be one of the primary forces shaping the contours of the postcrisis global economy." という書出しで始まっており、財政再建に対する強い意気込みが感じ取れます。まず、上のグラフはリポート第4章の p.141 Figure 4.2. Effects on the Current Account of a 1 Percent of GDP Fiscal Consolidation から引用しています。昨年2010年10月の「改定 世界経済見通し」の第3章で展開されたような action-based の財政再建であれば、従来型の conventional な政策よりも為替の減価が進むことから、財政再建に伴う需要減は外需で相殺される部分があり、上のグラフのように財政再建により経常収支が黒字化する可能性が示唆されています。もっとも、私にはこの action-based アプローチが、Romer and Romer の narrative approach とどう違うのかはハッキリしません。

Figure 4.11. Planned Fiscal Adjustment and Its Current Account Impact: GIMF Simulations

最後に、上のグラフはリポート第4章の p.150 Figure 4.11. Planned Fiscal Adjustment and Its Current Account Impact: GIMF Simulations から引用していますが、日米独のG3やユーロ圏などの国別に財政再建の経常収支への影響を IMF の GIMF (Global Integrated Monetary and Fiscal Model) のシミュレーション結果で示しています。注目すべきは右上のパネルなのでしょう。従来から、このブログで主張している通り、財政政策がルーズなほど、金融政策がタイトなほど、自国通貨は増価します。

今夜のエントリーでは IMF の「改定 世界経済見通し」について、日本語サマリーも参照しつつ、第3章と第4章の分析編に焦点を当てました。日本時間の今夜には第1章と第2章の見通し編が発表され、金曜日には IMF 世銀総会で取り上げられる予定です。

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