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2011年9月25日 (日)

村上春樹さんの小説に登場するジャズを集めた「ノベルズ・ジャズ」を聞く

ノベルズ・ジャズ

上のジャケットは「ノベルズ・ジャズ」 Novel's Jazz というアルバムで、村上春樹さんの小説に登場するジャズの曲を集めています。村上さんの小説の音楽といえば、最新刊の『1Q84』で最初のタクシーで主人公の青豆さんが聞くヤナーチェクの「シンフォニエッタ」がものすごく話題になったんですが、実は、「ノベルズ・クラシック」というCDも出ています。上のジャケットの色調が赤ではなくて緑になっていて、最後の14曲目に「シンフォニエッタ」が収録されています。私の場合はクラシック音楽よりもジャズの方に親しみを感じますし、何といっても、村上さんは小説を書き始める前はジャズ喫茶のオーナーだったんですから、今日のブログではこの「ノベルズ・ジャズ」を取り上げたいと思います。まず、英語と日本語が混在して長くなりますが、全15曲のラインナップは以下の通りです。情報源はライナー・ノートです。

奏者村上作品
It's Only a Papermoon
イッツ・オンリー・ア・ペーパームーン
Hank Jones Quintet
ハンク・ジョーンズ・クインテット
『1Q84』
Waltz for Debby
ワルツ・フォー・デビー
David Matthews
デヴィッド・マシューズ
『ノルウェイの森』
Close to You
クロース・トゥ・ユー
Cheryl Bentyne
シェリル・ベンティーン
『ノルウェイの森』
Autumn Leaves
枯葉
French Jazz Trio
フレンチ・ジャズ・トリオ
『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』
On a Slow Boat to China
オン・ア・スロウ・ボート・トゥ・チャイナ
白木秀雄クインテット『中国行きのスロウ・ボート』
South of the Border
国境の南
東京キューバン・ボーイズ『国境の南、太陽の西』、『羊をめぐる冒険』
The Girl from Ipanema
イパネマの娘
Donna Groom
ドナ・グルーム
『ノルウェイの森』、『カンガルー日和』
Begin the Beguine
ビギン・ザ・ビギン
Cheryl Bentyne
シェリル・ベンティーン
『夜のくもざる』
Bag's Groove
バグス・グルーヴ
Mal Waldron
マル・ウォルドロン
『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』
Airegin
エアジン
Manhattan Jazz Quintet
マンハッタン・ジャズ・クインテット
『蛍・納屋を焼く・その他の短編』
I Can't Get Started
言いだしかねて
L.A. Jazz Trio
L.A. ジャズ・トリオ
『神の子どもたちはみな踊る』
Hallo, Dolly!
ハロー, ドーリー!
外山喜雄 & デキシー・セインツ『ダンス・ダンス・ダンス』
Mack the Knife
マック・ザ・ナイフ
L.A. Jazz Trio
L.A. ジャズ・トリオ
『スプートニクの恋人』
Sophisticated Lady
ソフィスティケーテッド・レディ
Cheryl Bentyne
シェリル・ベンティーン
『アフター・ダーク』、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』
My Favorite Things
マイ・フェイヴァリット・シングス
Manhattan Jazz Quintet
マンハッタン・ジャズ・クインテット
『海辺のカフカ』

この表にあるすべての音楽をチェックしたわけではありませんが、小説に登場するオリジナルの曲ではないように私は受け止めています。例えば、最後の『海辺のカフカ』で主人公が聞く「マイ・フェイヴァリット・シングス」は明らかにコルトレーン・カルテットの演奏です。「いつの間にかコルトレーンのソプラノサックスのソロが終わって、マッコイ・タイナーのピアノに移っていた」旨の記述があるからです。どうして、こんなに細かいことを覚えているかというと、私のようなコルトレーン・ファンの間でもっとも高く評価されている「マイ・フェイヴァリット・シングス」は、アルバム「セルフレスネス」に収録されているものであると衆目が一致しているんですが、ニューポート・ジャズ・フェスティバルで収録されたこの曲では、マッコイ・タイナーが先にソロを取っていて、後でコルトレーンが登場するからです。また、「ノベルズ・ジャズ」に入っているマンハッタン・ジャズ・クインテットの演奏は最後に拍手が入っているので、来日した時の「マイ・フェイヴァリット・シングス・ライブ・イン・トーキョー」ではないかと思うんですが、私はこのアルバムは持っていません。好みの問題ながら、演奏はオリジナルの映画「サウンド・オブ・ミュージック」に近くて、そういう意味ではジャズ的ではありません。もっとも、ジャズの「マイ・フェイヴァリット・シングス」がすべてコルトレーンをなぞるように演奏されているわけでもなく、アキコ・グレースの初期のアルバムでも映画オリジナルのままのピアノを聞いた記憶があります。テナー・サックス奏者のハリー・アレンとエリック・アレキサンダーも演奏していますが、軽く想像される通り、後者の方がコルトレーン的であることは言うまでもありません。それはともかく、この「マイ・ファイバリット・シングズ」に見られるように、小説のオリジナルの音楽を収録しないところが、私のオムニバス盤に対する評価を低下させている一因のような気がします。
話が「マイ・フェイヴァリット・シングス」ばっかりになってしまいましたが、いろんな小説にいろんな音楽は配置されていて、それなりの効果を高めています。例えば、私と下の子が大いに感激した貴志祐介さんの『悪の教典』では、犯人がこのアルバムにも入っている「マック・ザ・ナイフ」を口ずさみながら犯行を重ねる、というくだりがあります。ということで、私は近くの図書館からエラ・フィッツジェラルドが歌う曲を収録したCDを借りて来て、下の子といっしょに聞いたりしていました。でも、私はどちらかといえば、ソニー・ロリンズのアルバム「サキソフォン・コロッサス」を持っていますから、「モリタート」という曲名で収録されている同じメロディーの方に親しみがあったりします。

少し前にも書きましたが、今年こそ村上春樹さんにノーベル文学賞を期待しています。また、ついでながら、和田誠・村上春樹のセレクションになる「ポートレイト・イン・ジャズ」なるオムニバス・アルバムも発売されています。これには少し趣きが異なる曲が収められています。

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