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2011年9月 2日 (金)

法人企業統計から企業セクターを概観する

本日、財務省から4-6月期の法人企業統計が発表されました。この時期の企業活動は3月の震災や円高の影響などで少し停滞気味のように見えます。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

設備投資7.8%減 4-6月、4四半期ぶりマイナス
法人企業統計

財務省が2日発表した4-6月期の法人企業統計によると、金融業と保険業を除く全産業の設備投資額は前年同期比7.8%減の7兆7145億円で、4四半期ぶりに減少した。うち製造業は2.0%減の2兆7372億円、非製造業は10.7%減の4兆9774億円だった。
ソフトウエアを除いた全産業の設備投資額は8.2%減の7兆634億円で、4四半期ぶりの減少だった。季節調整して前期と比べると6.6%減少した。
全産業の売上高は前年同期と比べて11.6%減の316兆4903億円で、6四半期ぶりの減少。うち製造業が12.3%減の91兆3968億円、非製造業は11.3%減の225兆935億円だった。経常利益は14.6%減の11兆3421億円で、7四半期ぶりの減少。うち製造業が15.3%減の3兆8778億円、非製造業は14.2%減の7兆4644億円だった。

次に、もう少し詳しく法人企業統計を季節調整済みの系列で見ると、売上高と利益は減収減益、また、設備投資も減少に転じていることが読み取れます。以下のグラフの通りです。上のパネルは水色の折れ線グラフで左軸に対応する売上高と赤で右軸に対応する経常利益を、下のパネルはソフトウェアを除く設備投資を、それぞれ兆円単位でプロットしています。影を付けた期間は景気後退期です。

法人企業統計の推移

さらに、法人企業統計からインプリシットに計算できる労働分配率と損益分岐点のグラフは以下の通りです。計算に要した統計は季節調整済みの系列が公表されていませんので、後方4四半期移動平均を示してあります。労働分配率は上昇、損益分岐点は低下の気配を示しており、典型的な景気停滞の雰囲気を醸し出していたりします。

労働分配率と損益分岐点の推移

売上げや営業・経常利益、あるいは、設備投資といった量的な指標から見ても、労働分配率や損益分岐点といった質的な指標から考えても、企業活動は停滞の可能性が示唆されていると私は受け止めています。そのひとつの要因は外需に起因し、要するに、円高と世界経済の減速です。

円高への企業の対応については、昨日、経済産業省から「現下の円高が産業に与える影響に関する調査」の結果が公表されています。「大企業・製造業編」から1ドル76円の為替レートへの大企業の対応のグラフを引用すると以下の通りです。縮小したので見づらいんですが、左側の赤い破線に囲まれた部分は原材料や部品を海外調達する比率の増加、右側が工場や研究開発施設の海外移転です。円高により空洞化が進む可能性が示唆されていると受け止めるべきです。

1ドル76円の為替レートへの大企業の対応

最後に、法人企業統計に戻って、9月9日にこの統計を考慮した4-6月期の2次QEが発表されますが、当然ながら、かなり1次QEから下方修正されると覚悟すべきです。

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