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2011年10月 3日 (月)

大企業で業況判断DIがプラスに転じた日銀短観をどう見るか?

本日、日銀から9月調査の短観が発表されました。ヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは+2、先行きも+4とプラスに転じ、変化幅は小さくやや慎重姿勢がうかがえるものの、まずまず先行きも明るい結果を示しました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

大企業の景況感が改善、9月の日銀短観 先行きは慎重
日銀が3日発表した9月の企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業製造業でプラス2となり、前回6月調査から11ポイント改善した。プラスは半年ぶり。東日本大震災による供給制約がほぼ解消し、生産や輸出が持ち直した格好。ただ先行き3カ月を予想するDIはプラス4にとどまり、長引く円高や世界経済の減速懸念を背景に慎重な見方が多い。
企業の業況判断DIは景況感を「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を差し引いた値。調査対象は1万910社で回答率は98.8%。前回から0.6ポイント上昇した。3月調査はプラス6、事実上初めて震災の影響を反映した6月調査はマイナス9だったため、今回調査はV字回復の途上にあるとの結果を示した形だ。
業種別では、大企業製造業の16業種のうち10業種で改善、2業種が横ばいだった。震災の影響で生産が急減していた自動車は、部品などのサプライチェーン(供給網)の回復を背景に65ポイント上昇のプラス13。上昇幅は過去最大となった。電気機械や窯業・土石製品、非鉄金属なども2桁の上昇を示した。
DIがプラス1と前回比6ポイント上昇した大企業非製造業は12業種中8業種で改善。震災の影響で自粛ムードの出ていた対個人サービスや宿泊・飲食サービスのほか、小売りも回復した。中小企業製造業も10ポイント上昇しマイナス11、同非製造業は7ポイント上昇のマイナス19と、軒並み改善した。
ただ、3カ月先の先行きをみると、慎重な見方をしている企業が多い。大企業製造業の先行きDIはプラス4にとどまった。自動車は11ポイント、電気機械は1ポイントの改善を見込むが上昇幅は限定的。中小企業製造業では1ポイント悪化に転じるなど、全規模全産業でみた先行きDIは2ポイント悪化しマイナス11となっている。
企業心理の負担となっているのは1ドル=77円前後の円高や世界経済の減速懸念だ。過去最高水準の円高が続けば、競争力の低下で輸出が落ち込み、生産に影響が出かねない。世界経済の減速懸念も日本の震災からの回復の足を引っ張る要因となるため、企業は景気の先行きに慎重姿勢を強めている。
事業計画の前提となる想定為替レートは大企業製造業が2011年度で1ドル=81円15銭と、過去最高の円高水準。年度上期(81円26銭)よりも下期(81円06銭)に円高が進むとみており、企業は経営環境の厳しさが増すと見通している。
こうした見通しは11年度の収益計画にも表れている。大企業製造業の売上高は前年度比4.1%増と前回調査よりも上方修正されたものの、経常利益は0.3%減と下方修正された。震災の影響で減った利益を、下期で取り戻せるかが焦点だったが、下期の経常利益が下方修正され、通年でも減益見通しとなった。
11年度の設備投資計画は大企業製造業で前年度比10.1%増と前回調査と比べ小幅に上方修正された。

まず、業況判断DIの推移を製造業と非製造業、また、気魚規模別に大企業と中堅企業と中小企業に分けて見ると以下の通りです。見れば明らかですが、上のパネルが製造業、下が非製造業で、いずれも影を付けた部分は景気後退期です。

業況判断DIの推移

3月の震災の本格的な影響が企業マインドに現れたのが6月調査で業況判断DIは大きく下に振れましたから、今回の9月調査でV字回復し、先行き12月の見通しがプラスではあっても、やや慎重姿勢と見えなくもありません。いずれにせよ、2010年3月の景気の底を脱して以来、2010年6月調査で大企業製造業の業況判断DIがプラスに転じ、その後の2010年9月調査以来、震災の影響を除けばほぼ横ばいと見られなくもありません。大企業非製造業も同じように見えます。ヘッドラインとなる大企業、特に大企業製造業がけん引する姿は見られず、先行きも欧米の債務不安に端を発する円高や世界経済の減速など、明るい見通しは立ちかねているのが現状かもしれません。

設備・雇用判断DIの推移

目を設備と雇用の要素需要に転ずると、設備と雇用人員の判断DIのグラフは上の通りです。プラスほど過剰であることを意味しています。今回の景気回復局面に限ったことではなく、いつもながら、設備や人員の過剰感は景気後退期に急速に高まる一方で、不足感は景気回復が始まってもなかなか高まらないどころか、過剰感の払拭すらままならない運びとなっています。特に、設備・人員とも震災前から過剰感の払拭にすらブレーキがかかっていたのが読み取れます。

設備投資計画の推移

最後に、設備投資計画が大きく下方修正されたのは意外感がありました。9月調査の短観では、3月決算から5-6月に株主総会などで年度計画がオーソライズされ、9月の時点では大きな変更はないものと見込んでいました。しかし、中身を見ると、引用した記事にもある通り、製造業が上方修正される一方で非製造業が下方修正されており、必ずしも円高に対応しているわけではなく、むしろ、節電、あるいは、震災復旧も含まれていそうな気もします。今後、震災復興のインフラ整備に伴って底堅く推移する可能性があると私は見ています。

方向として、景気は回復を示しており、雇用も拡大する方向にあることは確かなんですが、いかんせん、回復が力強さに欠けており、さらに、円高や世界経済の減速といった先行き不透明感が余りにも強いことから、期待成長率が高まらず雇用や設備の改善につながっていません。また、製造業の想定為替レートがまだ80円強となっています。長く70円台が続いていますが、収益が下振れする可能性が示唆されているのかもしれません。

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