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2011年10月21日 (金)

復興財源の負担やいかに?

昨日から臨時国会が召集され、本日、震災復興のための第3次補正予算案が閣議決定されています。この第3次補正予算案については、すでに、多くのメディアで報じられていますので、私のブログでは詳細は取り上げません。逆に、震災復興のための財源措置について、この先7年分、2018年までの国民負担を世帯年収別に試算した結果が、大和総研の「臨時増税より重い、住民税・手当減少・厚生年金」と題するリポートとして10月5日に公表されています。簡単に紹介しておきたいと思います。まず、大和総研のサイトからリポートのサマリーを引用すると以下の通りです。

【サマリー】
◆政府・与党内で、復興のための臨時増税案が決定された。個人については、主に、所得税額に4%を加算する「所得税付加税」を導入すること(2013年1月から10年間)、住民税の均等割に年間500円加算すること(2014年6月から5年間)などが含まれている。
◆また、政府税制調査会は、2011年度税制改正法案に含まれていたが未だ成立していない所得控除等の見直しについても2012年1月から実施し、復興財源に充てるものとしている。
◆本稿では、これらの税制改正のほか、3党合意に基づく子ども手当(児童手当)の見直し、既に法定されている厚生年金保険料の引上げなどを考慮し、夫婦子ども2人のモデル世帯(年収は200万円-2,000万円の7ケースを想定)において、2012年以後7年間の家計の可処分所得がどのように変化するのか試算を行った。
◆試算の結果、全てのケースで、付加税の実施は今後の可処分所得の変動の最大の原因ではないことがわかった。付加税も家計の可処分所得を減らす原因となっているが、2013年と2011年を比較すると、可処分所得減少の最大の要因は、年収400-800万円の世帯では、住民税の年少扶養控除廃止による負担増、年収1,000万円-2,000万円の世帯では、新児童手当の所得制限による手当の減少である。
◆また、厚生年金は毎年保険料率を引上げられることが法定されており、年収400-1,000万円の世帯においては、所得税の付加税よりも2年分の保険料率引上げの方が影響が大きかった。

1表で見やすく取りまとめたものとして、リポート p.6/10 図表6 「2013年における、2011年比の可処分所得の変化の要因分析」を引用すると以下の通りです。可処分所得階級別の各モデル世帯における2013年度における年収への影響であり、単位は万円となっています。試算のための前提はリポート p.4/10 に取りまとめてあります。

世帯年収所得税の負担増 (付加税以外)所得税の付加税厚生年金の保険料増加手当の減少住民税の負担増その他合計
400万円+0.07▲0.25▲1.41▲5.40▲6.24▲0.06▲13.29
600万円+0.22▲0.64▲2.12▲5.40▲6.06▲0.09▲14.09
800万円+0.59▲1.51▲2.83▲5.40▲5.88▲0.12▲15.15
1000万円+0.74▲2.72▲3.54▲29.40▲5.70▲0.15▲40.77
1200万円+0.90▲4.15▲3.70▲29.40▲5.58▲0.18▲42.11
1500万円+1.30▲6.98▲3.70▲29.40▲5.41▲0.23▲44.42
2000万円▲6.93▲13.18▲3.70▲29.40▲6.60▲0.30▲60.11

上に引用した大和総研の【サマリー】にもある通り、所得税の付加税が我々の所得を減少させているわけではありません。年収1000万円未満の世帯では住民税の年少扶養控除廃止による負担増が、年収1,000万円以上の世帯では子ども手当の所得制限による手当の減少が、それぞれ、可処分所得減少の最大の要因となっています。加えて、ほぼすべての世帯で厚生年金保険料率の引上げも無視できない大きさになっています。子ども手当の制度変更に伴う勤労世代への所得移転の削減と年金保険料引上げという引退世代への移転の増加が、勤労世代の可処分所得を低下させているのであって、震災復興の財源の多くが勤労世代の負担に基づいていることが明らかです。相続税や資産税の増税といった引退世代の負担を求めず、ひたすら勤労世代の負担によって震災復興を図るつもりなのでしょうか?

政治的な震災負担の決定のウラにはシルバー・デモクラシーのパワーが垣間見えるような気もします。このまま、我が国の勤労世代が高負担にあえぐだけの存在となり果てるのは、何としても避けるべきであることはいうまでもありません。しかし、圧倒的なシルバー・デモクラシーのパワーの前で、私にも解決の糸口すら見出せません。

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