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2011年10月25日 (火)

再びTPP参加について考える

TPP参加国

ここ数日、再び環太平洋パートナーシップ協定、いわゆるTPPに関する議論が活発になっているように見受けられます。先週金曜日10月21日は国家戦略室から「環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉の分野別状況 (平成23年10月)」「が公表されていたりします。
結論としては明らかなんでしょうが、TPPに参加することを前提に、農業などに対する補償のあり方に議論の主眼が移って来ているように私には見受けられます。そこで、いつもの私の視点ですが、単純に結果の再配分を行うだけでなく、結果に至る前の生産要素の円滑な移動に資する政策が必要だろうという観点はまったく見受けられません。
要素価格均等化定理で証明されている通り、技術と生産関数が同じであれば、という極めて強い前提を置きつつ、商品が自由に国境を越えて移動する自由貿易の下では、労働の賃金や資本のレンタルプライスといった要素価格が均等化します。そして、伝統的な経済学においては、国境を超えるモビリティは商品、資本、労働の順で高いと暗黙のうちに前提しています。しかし、私が観察する限り、日本については商品よりも資本のモビリティの方が高い可能性があります。もちろん、労働のモビリティはもっとも低くなっています。
単純に日本とアジアの2国モデルで考えれば、日本のような成熟した市場経済とアジアの新興国や途上国を比較して、資本の要素価格たるレンタルプライスは日本よりもアジア諸国の方が高く、従って、資本は日本国内からアジアに流出し、逆に、労働の要素価格たる賃金はアジアよりも日本の方が高く、労働はアジアから日本に流入します。ですから、産業別ではなく生産要素別に考えれば、自由貿易で利益を上げるのは資本ではなく労働です。ですから、TPP参加とともに法人税率の引下げがセットになっても不思議はありません。他方、産業別では少なくとも日本国内では労働のモビリティ、この場合は国境を超えるモビリティではなく産業の間を移動するモビリティですが、これは決して低くないと考えられます。おそらく、産業の間を移動するモビリティについては資本よりも労働の方が高いくらいかもしれません。
ですから、バナナの叩き売りよろしく、農業にいくらの予算を付けてTPPの損失補償をするか、という観点ではなく、いかにスムーズに生産要素の産業間移動が行えるようにするか、を重視すべきです。現在の農業への補償措置は生産要素を農業から移動させないための措置であり、経済学的にはまったくの本末転倒のように見受けられます。単なる既得権の維持以外の何物でもありません。

もう少し、要素移動も含めて、異時点間の最適化という意味でのダイナミックな経済政策を模索すべきと私は考えます。確かに、既得権は崩しにくい壁であるということは理解しているつもりですが、政権交代しても、何があっても、ここまで国際化や大きな構造変化があるにもかかわらず、一向に国内の既得権の構造が変わらないのは私には不思議でなりません。日本経済の衰退が進むのも当然なのかもしれません。

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