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2011年11月20日 (日)

ジェフリー・ディーヴァー『007 白紙委任状』(文藝春秋) を読む

ジェフリー・ディーヴァー『007 白紙委任状』(文藝春秋)

ジェフリー・ディーヴァー『007 白紙委任状』(文藝春秋) を読みました。世界的なベストセラー作家による007シリーズなんですから、面白くないわけがありません。まず、出版社のサイトから「担当編集者から一言」を引用すると以下の通りです。

担当編集者から一言
いま世界最高のサスペンス作家といえばジェフリー・ディーヴァーに間違いないでしょう。そのディーヴァーが今回挑んだのは史上最高のヒーロー――007ことジェームズ・ボンドなのです。殺しのライセンスを持つイギリスのスパイ、007。その物語を、ディーヴァーは現代的なノンストップ・サスペンスに仕立て上げてみせました。ヨーロッパから南アフリカ、そしてドバイへと世界を駆け巡る一大アクション巨篇です。

まず、どうでもいいことかもしれませんが、上に引用した「担当編集者から一言」の舞台の異動は少し順番が違っています。007 ジェームズ・ボンドの本拠地であるロンドンを含めて、物語はセルビア、ロンドン、ドバイ、南アフリカと展開されます。007シリーズなんですから、力技のドンパチが繰り広げられるアクション巨編であることは間違いありません。また、私はイアン・フレミングのオリジナル007ははるかかなたの大昔に読んだだけなんですが、長官のMとマニーペニー、ボンドの直属の上司であるビル・タナー、連絡係のメアリー・グッドナイト、CIAのフェリックス・ライター、フランス情報部のレネ・マティスなど、冷戦時代のお馴染みがズラリと顔をそろえてたりします。もちろん、装備はフルに21世紀仕様になっています。私なんかには理解のはかどらないハイテク装備で満載です。
世界的なベストセラー作家と持ち上げましたが、実は、私はジェフリー・ディーヴァーについては、リンカーン・ライムを主人公とするニューヨークを舞台にした鑑識捜査シリーズのうちの『ウォッチメイカー』しか読んだことがありません。別のシリーズの主人公であるキネシクスの専門家キャサリン・ダンスも登場するオトクな1冊です。それはともかく、ジェフリー・ディーヴァーといえば、リンカーン・ライムの鑑識、キャサリン・ダンスの尋問と、ともに静かなインドアのイメージがあって、アウトドアで力技のドンパチを繰り広げる007シリーズには不向きな気もしていました。例えば、同じ言葉の「スパイ」を扱った巨匠とはいっても、スマイリーを主役とするシリーズで有名なジョン・ル・カレが007シリーズに向いていないのと同じです。でも、これは評価の分かれるところかもしれません。私は基本的にディーヴァーはテレンス・ヤングのオリジナルの007を十分に理解していると感じましたし、その上でディーヴァーが解釈した007は面白いと受け止めました。ただし、かなり内省的なジェームズ・ボンドです。父親がスパイだったのではないかと思い悩むスパイです。ゴルゴ13ではありませんが、マシンのように着実に任務を遂行する007を求める向きがある可能性もあります。でも、やっぱり、007とゴルゴ13は違うと私は思います。

訳者のあとがきにもあるんですが、スパイとしてのインシデントの処理は終了していますが、ボンドの家族の物語は尾を引いている印象があります。すなわち、ディーヴァーが007シリーズの続きを書く可能性は残されていると私は受け止めています。もしも、出版されたら、次も私は読みたいと思います。

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