来週月曜日発表の7-9月期1次QEは4四半期振りに大きなプラス成長か?
内閣府による来週月曜日11月14日の発表を前に、GDP統計1次速報に必要な経済指標がほぼ出尽くし、各シンクタンクや金融機関などから2011年7-9月期の1次QE予想が出そろいました。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しました。可能な範囲で、足元の7-9月期以降の先行き見通しを拾いましたが、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートがダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別画面が開いてリポートが読めるかもしれません。
機関名 | 実質GDP成長率 (前期比年率) | ヘッドライン |
日本総研 | +1.6% (+6.4%) | 10-12月期以降を展望すると、回復・復興の動きが引き続き景気押し上げに作用するものの、以下2点(引用者注: 円高とタイの洪水被害)を中心に下振れリスクがやや拡大。事態が深刻化すれば成長率が急減速する恐れ。 |
みずほ総研 | +2.1% (+8.5%) | 10-12月期は大幅に減速するが、プラス成長を維持すると予想。 |
ニッセイ基礎研 | +1.4% (+5.7%) | 当研究所推計の月次GDPは2011 年4月から6月にかけて高い伸びとなった後、7月以降は3ヵ月連続で前月比マイナスとなっており、景気は実勢としてはすでに大きく減速している。 |
第一生命経済研 | +1.5% (+5.8%) | 大幅なプラス成長は、6月までの景気が急回復したことによるプラスのゲタの影響が大きく、各種月次統計では7月以降景気回復ペースが明確に鈍化していることが示されている。7-9月期の高成長とは裏腹に、既に景気が減速局面にある点には注意が必要だろう。10-12月期についてはこうしたプラスのゲタが期待できず、成長率の大幅減速は必至の情勢である。 |
三菱UFJリサーチ&コンサルティング | +1.3% (+5.2%) | 4四半期ぶりにプラス成長となり、プラス幅もかなり大きくなったと見込まれる。東日本大震災の影響で一旦大きく落ち込んだが生産活動が、供給体制の復旧に伴って急速に回復したことが大きな要因である。 |
三菱総研 | +1.5% (+6.3%) | 月次ベースの主要経済指標によると、5-6月に急速に持ち直した後、その回復ペースは徐々に鈍化しており、7-9月期の高成長は前期の「ゲタ」による側面が大きい。 |
伊藤忠経済研 | +1.7% (+7.0%) | 高成長は7-9月期の1四半期で終わり、輸出と個人消費の急減速により、10-12月期の日本経済は再びゼロ%程度まで成長率が低下する可能性が高い。2012年1-3月期以降については、第三次補正予算に計上された復興投資などの寄与により、日本経済は緩やかな拡大を続けるとメインシナリオでは予想している。 |
みずほ証券リサーチ&コンサルティング | +1.5% (+6.0%) | 7-9月期の高成長は6月までの持ち直しを受けて高い発射台からのスタートとなったことが寄与した面が大きく、7月以降は、供給制約の解消に伴う動きが概ね一巡するなか、海外経済の減速の影響が輸出・生産面に現れてきているため、回復ペースは鈍化している。このため、当期は高成長となったものの、10-12月期以降、GDPの回復ペースは鈍化していく可能性が高いと考えている。 |
昨年以来1年振りに7-9月期はプラス成長となり、前期比年率成長率で5%を超えるかなりの高成長を記録した点についてはほぼコンセンサスがあります。同時に、この高成長は初夏から夏前の5-6月くらいまでの「ゲタ」によるものであり、7-8月くらいからすでに景気は鈍化していて、足もとの10-12月期は大幅に成長が減速するという点に関してもほぼコンセンサスがあるように見受けられます。問題は10-12月期がプラス成長なのか、マイナス成長なのか、という点ですが、私の見方はみずほ総研や伊藤忠経済研に近くて、10-12月期はギリギリにせよプラス成長を確保し、1-3月期にも拡大を続ける、と見込んでいます。もっとも、欧州情勢次第かもしれません。

最後に、GDP統計とは直接の関係はないんですが、本日、日銀から発表された10月の企業物価のグラフは上の通りです。前年同月比上昇率をプロットしています。
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