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2011年11月27日 (日)

80歳になったソニー・ロリンズのテナーはやっぱり力強く男性的か?

ソニー・ロリンズ「ロード・ショウズ」Vol.1, Vol.2

テナーサックスの巨人、ソニー・ロリンズが新しいアルバムをリリースしました。「ロード・ショウズ vol.2」です。2年前の vol.1 とともに聞いてみました。まず、曲の構成は以下の通りです。

  • Road Shows, vol.1
    1. Best Wishes
    2. More Than You Know
    3. Blossom
    4. Easy Living
    5. Tenor Madness
    6. Nice Lady
    7. Some Enchanted Evening
  • Road Shows, vol.2
    1. They Say It's Wonderful
    2. In a Sentimental Mood
    3. Sonnymoon for Two
    4. I Can't Get Started
    5. Raincheck
    6. St. Thomas

vol.1 も vol.2 もいずれもすべてライブ録音された音源です。vol.1 が古いところでは1980年代の2曲を含むのに対して、vol.2 はすべてが2010年のライブですから、その意味で、注目するジャズ・ファンも多かったんではないかと考えられます。もちろん、私もそのうちの1人です。ちなみに、vol.2 の1曲目は札幌でのライブ、最後の6曲目は東京で録音されています。2-5曲目はニューヨークにおけるロリンズ自身の「生誕80周年記念ライブ」でのパフォーマンスです。
いうまでもありませんが、ロリンズはコルトレーンと並ぶモダン・ジャズのテナーサックスの巨人の1人であり、力強い男性的なサウンドを売り物にしています。私の受止め方だけなんですが、コルトレーンが緊張感を高めるテナーサックスなのに対して、ロリンズはリラックスできるサウンドな気がします。同じことを別の表現をするならば、コルトレーンはストレス・レベルを上げ、ロリンズは下げるということも出来るかもしれません。もっとも、私は基本的に適度に緊張感を高めるために音楽を聴くことは嫌いではなく、決して、音楽はリラックスするだけが目的ではないと考えています。非常に極端な例では戦意高揚のための軍歌の効用について、マンガ「ケロロ軍曹」のギロロ伍長が発言していたことを思い出します。もちろん、私は戦意高揚やその先にある戦争を称揚するつもりはありませんし、軍歌とモダン・ジャズの名曲・名演奏を同一視するのはとんでもないことだと考えていますので、念のため。
前置きが長くなりましたが、このアルバムの vol.1 も決して悪い出来ではないと思っていましたが、続けて聞くと、やっぱり vol.2 がすぐれています。もちろん、ロリンズの全盛期は50年ほど前の1960年前後でしょうし、このアルバムが「サキソフォン・コロッサス」よりもいい出来であるなどと、血迷ったことはいうつもりはありませんが、ロリンズらしい朗々となるテナーサックス、小粋なアドリブ、くつろいだ雰囲気の聴衆と、なかなかの出来上がりとなっています。まあ、80歳にしては十分な肺活量でよく息が続きますし、フィンガリングもまだまだ健在でよく指が動きますす。さすがに、新しい音楽を切り開く境地にいるとはとても思えませんが、それでも、「昔の名前で出ています」だけではありません。今世紀に入ってからのテナーサックス奏者では、私は圧倒的にエリック・アレクサンダーを評価していて、やや懐古趣味的なアンディ・スニッツァーやグラント・ステュワート、あるいは、ハリー・アレンなんかも決して嫌いではないんですが、1950-60年代の圧倒的なロリンズの存在感には及ばないのは当然です。スポーツのように勝負が決まるわけではないので、ロリンズを引退に追い込むというのは表現が違う気もしますが、いつまでもロリンズを聞いているのではなく、バリバリの若いテナーサックス奏者が出て来て欲しい気もしないでもありません。

最後に、下の動画は昨年2010年の North Sea Jazz Festival で St. Thomas を演奏するソニー・ロリンズです。

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